知的財産権保護体制が万全ではないことも、企業が研究開発費の増加に二の足を踏む原因のひとつとなっている。
〇革新への投資が実益をもたらし、技術転化がさらなる利益に結びつく
現在の製造業界では、「モデルチェンジしなければ死を待つばかりだ。しかし、モデルチェンジは自殺行為に等しい」という言葉が流行している。構造調整がこう着している時期において、企業に求められることは、革新に投資し、企業の革新力を高め、企業家としての考え方を転換し、革新に対する企業家としての自信を固めることだ。
中国500強企業のひとつ、人民電器の鄭元豹・董事長は、以下の通りコメントした。
坂を上り、窪みを乗り越えなければならない今、伝統産業が乗っている二輪駆動車では、絶対に前進できない。資本を投じて2つの新たな原動力を導入して、4輪駆動車に改造して初めて、伝統製造業はモデルチェンジ・アップグレードの壁を乗り越えることができる。研究開発への投資は、基盤研究からスタートしなければならないという訳ではない。企業は、グローバル規模で伝統型製造業が受け入れ可能な最新技術を買収し、国家が奨励する戦略的新興産業のハイテクを導入することで、技術力を高め、研究開発リスクを軽減することができる。
弊社も最近、米国から新技術を導入した。製造業の未来は決して悲観的ではない。弊社が買収した、10年間実用化されなかった家庭用照明技術は、空気清浄機の脱油煙技術に転化することができる。全て、「生活に密着した」新興産業だ。人々の日常生活で頭の痛い問題を解決することはすなわち、市場の隙間を埋める作業であり、非常にやりがいが大きい。このような革新への投資は、実際に実のあるお金の使い道であり、そこから転化されて生み出されるものは、より価値の高いものとなる。
企業が研究開発を強化することと、企業の負担を減らすことは、決して相容れないことではない。製造強国推進計画「メイドインチャイナ2025」によると、中国政府は、企業研究開発費の所得税加算を統一的に控除し、企業研究開発費の算出方法を完備し、控除対象となる研究開発費の適用範囲を拡大する方針だ。また、中国企業家連合会は、「国家はさまざまな技術革新資金投入体制を早急に構築するべきだ。企業が研究開発投資を拡大すると同時に、国家も、基礎性・共通性の高い業界のコア技術に対する投入力を高め、ベンチャー投資が新技術開発分野に参入することを奨励しなければならない」と提案した。(編集KM)
「人民網日本語版」2015年8月25日
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