中国の経済成長について海外メディアからさまざまな憶測が飛び交うなか、国際通貨基金(IMF)は中国の金融経済運営やマクロ調整策などを高く評価。中国経済は、より安定的で持続可能な「新常態(ニューノーマル)」に入ったとの認識を示した。専門家は、ファンダメンタルズの面から見ても安定回復に向かう兆しが表れており、成長のリスクポイントはやや改善が見られると指摘。ただし中長期的に見ると、しばらくの間は成長の安定化が引き続き重点課題になるとの見方を示した。
2015年上半期、中国経済は成長ペースが鈍化し、大きな下押し圧力に晒された。しかしIMFは、15年の中国GDP成長率について「7%前後」の政府目標達成は可能だと強調し、中国にとっては6.5~7%の成長率が適正レンジだと指摘した。
IMF幹部は、経済成長率が鈍化しても、中国の労働力市場は良好な状態を維持していると評価する。光大証券の徐高シニアエコノミストは、IMFが中国経済に肯定的な見方を示したことについて、この他にも評価できる点が複数あるためだと分析する。具体的には、◇社会全体の貸出の伸びが抑えられたこと、◇予算法の改正で地方政府の財政悪化が食い止められること、◇金融分野の市場化改革の推進、◇不動産市場でも必要な調整措置が実施されていること、――など。これらを踏まえ、中国経済はより安定的で持続可能な成長軌道に乗ったとみることが可能だとしている。
IMFのマーカス・ロッドラウアーアジア太平洋地区担当副主任は、「中国経済は引き続き大きな成長余地があり、これまでのように必要な対策を継続して実施していかないと今後の成功は望めない。マクロ政策と改革は往々にして苦難に満ちているが、これらを急速に進めれば、経済成長促進効果の早期発揮が期待できる」と語った。
人民元為替相場について、IMFはここ10年で初めて「もはや過小評価されていない」と評価した。中国銀行国際金融研究所の周景彤高級研究員は、「人民元相場は今後、より市場原理に沿ったものとなる。人民元対米ドルレートがすでに均衡のとれた水準に接近していることを考えれば、人民元相場は今後、基本的に安定し、小幅に変動するのが通常の状態になる。」との予測を示した。
IMFの楽観的な評価には根拠となる数値がある。国家統計局のまとめでは、現在の雇用、物価、不動産に関する統計は比較的良好に推移している。中国人民銀行(中央銀行)の馬駿チーフエコノミストは、IMFが15年の中国GDP成長率予想を6.8%としていることについて、これはやや控え目な見方だと指摘。下半期の前期比での成長ペースは上半期を上回るとみており、年間トータルでは7%前後に達する可能性が高いとしている。
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