中国人民銀行(中央銀行)は12日、人民元の対ドル基準値を1ドル=6.3306元と発表、前日比1008ベーシスポイント低下、低下幅は1.6%となった。中国人民銀行が11日より人民元の対米ドル基準値の算出方法を変更することを発表して以来、基準値は11日に前日比約2%、12日に同1.6%それぞれ低下したことになる。京華時報が伝えた。
中国人民銀行の11日の発表を受け、市場アナリストは「今後の為替レートの変動に対する中国人民銀行の考え方を見る上で、12日の動向が鍵となる」との見方を示していた。中国人民銀行には、(1)12日の基準値を市場価格にあわせて1ドル=6.32元前後とし、人民銀行は強力な介入を行わない(2)12日の基準値を11日の1ドル=6.23元前後のまま維持し、基準値と市場相場を引き続きかい離させる--という2つの選択肢があった。結果、12日の基準値は1ドル=6.3306元だった。中国人民銀行は1つ目の選択肢を選び、中国が市場化に向けたレート改革を進めていく決意が示された。
人民元の大幅な下落により、米国から非難の声が上がっている。米大統領選の共和党候補、ドナルド・トランプ氏は「人民元の切り下げは、米国に破壊的な影響を与えている」と大々的に批判した。しかし、実際のところ、人民元の下落について一番文句を言う筋合いが無いのが米国だ。2010年以降、世界のその他の通貨が軒並み米ドルに対して下落する中、人民元は米ドルに対して10%上昇した。データによると、今年上半期、人民元の実質実効為替レートはすでに2.95%上昇している。
また、今回の調整はレート決定メカニズムの市場化に向けた改革であり、それはまさに米国および国際金融機関がこれまで中国に対して常に要求してきたことなのだ。もし、11日の人民元下落を、中国人民銀行の行政手段による介入だと言うのなら、12日の基準値はより市場相場に近づいたと言える。11日のオンショア市場の人民元直物相場は1ドル=6.3231元で、基準値を約1.5%下回った。同日のオフショアレートと人民元の1年物NDF(ノンデリバラブル・フォワード)レートはそれぞれ2.8%、3.5%下落し、市場からの強烈な切り下げ要求が反映された。こうした「要求」は、12日の基準値の中である程度反映・体現されたと言える。トランプ氏の非難は全く根拠の無いものだ。(編集SN)
「人民網日本語版」2015年8月13日 |