20年前の1995年8月15日、当時の村山富市首相が戦後50年の節目に発表した「村山談話」は、日本にとってどんな意味を持つのか。安倍首相がこの8月に発表する「安倍談話」が「村山談話」の精神を継承するものとなるのか。中国、韓国をはじめ世界がこれに注目している。" /> 村山富市元首相に聞く 隣国との和解で拓かれる未来 -- pekinshuho
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村山富市元首相に聞く 隣国との和解で拓かれる未来

 

――6月に日本記者クラブで行われた、河野洋平・元官房長官と戦後70年を語る対談では、安保法制撤回について強く語られていますね。

村山 現在審議中の安保関連法案について、日本の憲法学者の絶対多数は違憲と指摘しています。憲法に反する法案が提出され、審議することは、国会自体が憲法違反をすることになります。しかも総理自らが国民の理解を得ていないと認めながら、審議を打ち切り、数の力での採決で成立をはかろうとしているのは、許すことのできない暴挙です。平和憲法を守り、戦争に反対することは国民の願いです。国会はこの国民の声に応えて廃案にすべきです。

村山氏は読者への一筆として、2枚の色紙をしたためた。「杖莫如信」(杖るは信に如くは莫し)は、「村山談話」にも引用された『春秋左氏伝』の一節、「思無邪」(思いに邪なし)は『論語』の一節。インタビューの後、王衆一・本誌総編集長の要望に応じ書いたもの

――現在の日本と世界の情勢についての見解はいかがでしょうか。

村山 今の日本政府は、領土問題や中国の南沙諸島の問題などで中国に対する警戒心を強め、また北朝鮮の核問題などにも触れ、現在世界で一番危機にさらされているのは、東南アジアであるという危機感を必要以上に醸し出しています。

もし危機感があるのなら、それを除去する外交努力こそが求められるべきです。中国は覇権を求めないというのが、基本的な方針になっています。もし戦争があれば、今日の繁栄や経済大国としての姿はないはずで、中国は戦争を決して望んでいないと私は認識しています。その姿をまずは信頼し、もし危機感があればそれを除去するべく、話し合いで解決する道筋を求めることが大切です。軍備にしても、「あちらがこれだけ備えているんだから、こちらだって」とお互いに備え合うことは、逆に戦争を誘発する原因にもなりかねません。

米国は日中間の戦争を決して望んでいないと思います。むしろ日本には中米間の緩衝材になってほしいと思っているはずです。安保条約の関係上、日本にはもっと軍事力の面で協力をしてほしいと思っているかもしれません。

――新たな世界構図における中日関係をどのようにお考えでしょうか。また、今後両国はどのような関係を築き合い、発展させるべきでしょうか。

村山 2008年、胡錦濤国家主席(当時)は国会で演説し、「村山談話」をお互いに確認することで歴史問題を解決する、日中関係は戦略的互恵関係という新しい時代に入っていく、と述べています。それには互いに約束をしっかり守り、決して争わない環境をつくることが大切です。両国が現在、経済面で依存関係になっていることからも、それが必要なのがわかるでしょう。

――昨年末に行われた南京大虐殺犠牲者国家追悼式典で、習近平国家主席は「これは恨みを続けるためではない」と述べ、二階俊博氏が率いる3000人訪中団との会見でも「両国の前途は両国人民の手に握られている」と提起しました。

村山 歓迎すべきことです。相互協力し、助け合うという環境づくりは両国のため、アジアのため、ひいては世界のためにもなると考えなければいけません。両国間には今後も摩擦があるとは思います。しかしその摩擦をお互いの努力と話し合いで解決し、さらに良い関係へと進めていくことが大切だと思います。

村山内閣総理大臣談話

「戦後50周年の終戦記念日にあたって」より抜粋

いま、戦後50周年の節目に当たり、われわれが銘記すべきことは、来し方を訪ねて歴史の教訓に学び、未来を望んで、人類社会の平和と繁栄への道を誤らないことであります。

わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます。

「人民中国インターネット版」2015年7月21日

 

 

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