その理由をどう分析している?
「中国からの訪日客は近年、政治的な問題で落ち込んでいたが、日中関係が徐々に改善に向け進み始めていたところに、円安が重なったのが大きいとみている。中国からの訪日客は従来、春節(旧正月)の連休などに集中していたが、15年は4月以降も勢いが落ちていない。中国人の訪日観光ブームは一過性のものではないと考えている」。
「訪日客の旅行スタイルも変化しつつある。これまで中国からは団体旅行が中心だったが、北京や上海など沿海部の大都市を中心に個人旅行のニーズが急速に拡大している。航空券の販売も旅行予約サイトが中心だ。過去に日本の観光産業がたどったプロセスに非常によく似ているが、その進化に要する時間は日本よりも短いと感じている」。
国内線への影響は?
「つい最近まで国内線の旅客はほとんどが日本人だったが、国内線に占める外国籍旅客の比率は2%になっている。航空会社は装置産業(生産、サービスに大型の設備やシステムが必要な産業)なので旅客が増えても新たなコストはあまり発生せず、増収分は基本的に利益になる。2020年の東京五輪までに、外国人旅客の比率を3%以上に高めることができれば、人口減少に悩む国内線事業にとって非常に大きな追い風になる」。
「日本人の国内旅行はゴールデンウィークや夏休み、年末年始などに集中する傾向にあり、国内線の需要変動は激しい。一方、訪日客は1年を通して様々な国からやってくる。訪日客には国内線を使って地方都市にも足を運んでもらうことで、国内線の需要の谷間を埋める効果を期待している」。
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