円安により、日本で不動産を購入する中国人が増え、日本旅行も人気を集めている。一財網が伝えた。
安倍政権の経済政策「アベノミクス」が量的緩和(QE)の矢を放つと、円安が疲弊した日本の輸出にとってのカンフル剤となり、外国人観光客の間で日本の人気が高まった。地理的に近く文化的にも近い日本は、中国人観光客にとって魅力的な場所だ。豊かになった中国人と中国資本は香港・澳門(マカオ)地区を何度も行き来し、欧州・米国を席巻し、東南アジア・オセアニアに足を伸ばし、韓国に押し寄せた。今では旅行でも買い物でも日本に一番人気がある。
在上海日本国領事館が発表したデータによると、昨年以降、同領事館が発行した査証(ビザ)が爆発的に増加している。2012年は43万5千件、13年は37万4千件だったが、14年は87万4千件で過去最高を記録した。今年1~4月は49万8千件で前年同期の2倍以上に増え、13年の総件数を27%上回る。このペースが続けば、今年の件数は200万件を突破する可能性が高い。
これはすごいことだ。とりわけ両国の政治関係が現在のように低迷し冷え込む時期にあって、民間交流の温度はまったく下がっていない。中でも中国人観光客の日本旅行熱が上昇し続けており、ここから意義深い次の3つの点が浮かび上がってくる。
(1)経済グローバル化の時代には、ある国の通貨政策が調整されると、その国の貨物貿易やサービス貿易に質的な変化をもたらすだけでなく、主要貿易相手国との貿易関係の調整が促されることになる。円安により、中国、韓国、米国、欧州といった日本の主要貿易相手先の対日貿易には連鎖反応が生じることになる。日本は10数カ月連続して貿易黒字になり、これは円安と直接的な因果関係がある。特に日本のサービス貿易の黒字には、中国人観光客の貢献が大きい。
(2)円安と中国人観光客の旅行熱とは共振しあっている。14年はアベノミクスが「3本の矢」を放ち、日本版QEをうち出した要の年であり、同年の中国人のアウトバウンド観光客数はのべ1億人を超え、消費額は1500億ドル(約18兆5550億円)に達し、いずれも世界一だった。
(3)他の市場の中国人観光客に対する態度と比較すると、日本は確かに努力を重ねている。
中国人観光客が世界中を旅すると、観光消費をもたらすだけでなく、資本プロジェクトもついてくることになる。最も直接的なものは不動産プロジェクトへの投資だ。欧州債務危機の頃、中国人は欧州の不動産を買い、低迷した欧州の経済にタイミングよく手をさしのべた。
在上海日本国領事館の小原雅博総領事は、「中国人投資家による日本の観光分野への投資はまたとないビジネスチャンスだ。私の知るところでは、中国人投資家は日本のホテル、ゴルフ場、総合レジャー施設などのプロジェクトにも投資を始めている。中国資本が日本でより大きな役割を果たすことを願う」と話す。
グローバル化とは、人のグローバル化と資本のグローバル化のことをいう。国際貿易で利益をもたらす要因は、すべてこの活き活きとした人と資本のグローバル化によって主導されている。日本はそのことをよく知っており、そのうまみもよく知っている。1980年代には日本の資本が世界中を駆けめぐり、米国人に「日本は米国を買い上げてしまうのではないか」との懸念を抱かせた。時は流れ、世は移ろい、今や中国人と中国資本が主役を演じる時代になった。国家戦略である「1ベルト、1ロード」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)だけでなく、民間の観光客や資本の動きも大いに注目に値する。日本がしっかりと対処できるなら、中国人観光客と中国資本は日本経済を活性化し振興する大きな力になる。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年6月26日 |