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中国の60歳以上高齢者2.12億人

         「高齢化」イコール「社会の老化」にあらず

今月1日、不幸にも長江で転覆・沈没した大型客船「東方之星」に乗っていた400人を上回る乗客の多くは、高齢者ツアーへの参加者だった。5月25日、河南省平頂山市魯山県の老人ホームで火災が発生、入居者38人が死亡した。高齢者が犠牲となる事故が立て続けに起こったことで、日ごとに深刻化する中国の高齢化問題が、再び社会の注目を集めた。人民日報が報じた。

2014年末の時点で、中国の60歳以上の高齢者人口は2億1200万人に達し、総人口の15.5%を占めるまでとなった。予測では、今世紀半ばには、高齢者人口の数がピークに達し、4億人を上回る見通し。

〇高齢者の増加で人口構成が変化

国家衛生・計画出産委員会がこのほど発表した「2015年中国家庭発展報告」によると、「空巣老人」、すなわち子供が家を出たため老人世代だけで暮らしている高齢者は、高齢者全体の半分を占めている。

中国人民大学人口・発展研究センターの宋健教授は、このような情勢について、次の通り述べた。

中国の人口高齢化進行のすう勢は、▽高齢者数の増加スピードが速い ▽増え続ける高齢者の数が多い ▽かなり高齢の老人や失能老人(自分一人では生活ができず、他人の助けを必要としている高齢者)が猛烈な勢いで増えており、社会的負担がますます大きくなっている ▽農村における高齢化問題がかなり深刻 ▽高齢者家庭の空巣化、独居化が加速している――などの特徴を呈している。

人口の高齢化は、人口転換(社会の近代化にともない,人口動態が多産多死から多産少死を経て少産少死へ移行すること)と社会経済発展による必然的な結果である。その背景には、まず、死亡率が安定かつ持続的に低下し、人々の生活水準が全体的に向上したことで、多くの人は、老年期さらには高齢期まで生きるようになったことが挙げられる。もう一方で、計画出産政策の実施と出産に対する人々の意識が変化したことで、出生率が下がり続けていることも大きい。これら2つの要因によって、総人口に占める高齢者人口の割合が引き上げられ、高齢化が促進された。

高齢者人口が増加し続ける情勢は、中国における人口発展の特徴と関係が深い。1950年代から1960年代にかけて起きたベビーブームに生まれた多くの人々が、今世紀に入り、老年期に入っており、彼らは今後数十年間、高齢者人口の主力軍となるだろう。

中国は今、高齢化に絡むさらに厳しい課題を突き付けられている。

中国で高齢化が急速に進んだ背景には、経済のモデルチェンジと都市化現象があり、これらによって、より厳しい課題が突きつけられている。まず、経済のモデルチェンジによって、それまでの「単位」制度が解体、人々は「単位人」から「社会人」となり、老後のための資源のほとんどを、家庭や政府に依存しなければならなくなった。経済のモデルチェンジに伴い、若者の就職競争や仕事のストレスも深刻化している。彼らは仕事と家庭の両立すらも難しく、より多くの時間やエネルギーを老人の面倒を見ることに注ぐなど、もってのほかだ。経済状態に余裕のない一部の若者は、やむを得ず「老いた親のすねをかじる」ことで生きざるを得ない。このように、本来の正常な世代間経済移行が逆流する現象まで生じている。

また、都市化によって、多くの農村の労働力が都市部に流出、農村部の高齢者は、故郷で「留守番」役を務めざるを得なくなった。面倒を見てくれる子供がいなくなっただけではなく、重労働の農作業を担う必要が生じ、さらには孫の世話までが高齢者にのしかかっている。社会保障体制が完備されていない状況のもと、養老・世話・医療などの資源不足により、農村の高齢化問題がいっそう深刻化している。特に、養老保障(年金)問題と医療問題は、早急に解決しなければならない問題で、貧困農村部の状況は、一刻の猶予も許されないほど酷くなっている。

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