中国と韓国は10年に及ぶ共同研究と交渉を経て、6月1日に「中華人民共和国政府と大韓民国政府の自由貿易協定」(中韓FTA)を締結した。習近平国家主席と韓国の朴槿恵大統領は同日に祝辞を交わし、中韓FTAの締結は一里塚としての意義をもつ出来事であり、両国の戦略的パートナーシップを深め、東アジアおよびアジア・太平洋地域の経済一体化プロセスの促進やグローバル経済の成長の促進において、積極的な貢献をなすものであるとの見方で一致した。「中国青年報」が伝えた。
経済規模は世界3位で、中国にとってアジアの隣国である日本は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)への加盟をめぐり依然として慎重な態度を取り、創設メンバーになることを放棄し、その後の中日韓FTA交渉でも慎重な態度を取り続けている。
中日韓3カ国の間では、早くも2003年にFTAの共同研究がスタートし、13年3月に第1回交渉が行われたが、14年8月の第5回交渉はうまくいかなかった。こうした状況の中で、中韓FTAの交渉が先行し、14年11月には実質的な交渉が終了した。
中韓FTAの規定では、中韓の貨物貿易の自由化率は税目で90%を超え、貿易額では85%に達する。FTAが発効すれば、韓国が中国に輸出する商品のうち730億ドル(約9兆410億円)分が、中国が韓国に輸出する商品のうち418億ドル(約5兆1769億円)分が、それぞれゼロ関税の恩恵を受けることになる。理屈からいえば、輸出産業で韓国と似た状況にある日本は圧力を受けることになるが、日本はそれほど焦っていないようにみえる。
日本紙「日本経済新聞」の報道によると、韓国は日本に先んじて中国市場で関税自由化政策の恩恵を受けることになったが、日本企業と競合関係にある自動車などの分野は対象外であり、日本企業への影響はそれほど大きくない。中韓FTAの発効後、ただちに関税が撤廃される品目は韓国の対中輸出の3.7%を占めるに過ぎず、鶏肉などの重要農産品の多くは対象外だ。そこで日本のメディアは、「昨年に締結された中国とオーストラリアとのFTAと同じく、中韓FTAの締結からわかることは、中国が先進国との経済協力のさらなる強化において戦略的な意義を備えたということだ」と報じた。
分析によると、日本政府が現在注目しているのは、米国が主導する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の加盟の交渉、および欧州連合(EU)との間で進めている経済連携協定(EPA)の交渉だ。だが現実的な状況としては、安倍政権は年内にEUと基本的な合意に達するとの目標を掲げるものの、EU側は日本の本音はTPP交渉を優先させることにあるとみており、日本との関税撤廃をめぐる話し合いが進展しないことに不満を抱いている。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年6月3日 |