南中国海問題は最近もヒートアップしている。米国は問題を焚き付けた責任を免れない。5月30日のアジア安全保障会議でのカーター米国防長官の演説原稿は10ページ足らずだったが、南中国海問題に関する内容が2ページを占めた。米太平洋軍司令官交代式の演説と比べると、カーター長官による国際会議の場での南中国海問題への言及は口調が比較的穏やかで、「政府」「外交」的色彩がより濃い。前者は自らの軍を前にした呼びかけであり、後者は「外交的発言」だ。(蘇暁暉・中国国際問題研究院国際戦略研究所副所長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
だが内容を見ると、両発言の中心的考えに大きな違いはない。これは南中国海問題への強硬姿勢を米軍が日増しに強めていることを十分に反映している。南中国海問題における中米の「口げんか」はもとより真新しいことではない。米側はすでに繰り返し海上部隊を始めとする中国軍の発展に懸念を表明しており、最近も南中国海での埋め立てに深刻な懸念を表明した。また、米側は必ず「航行の自由」を口にし、南中国海問題に介入する重要な「理由」としている。米国の不当な非難に対して、中国側は真っ向から対立し、反論している。
だが南中国海問題に関する米軍の最近の発言は、懸念されるシグナルを発している。これまで、国務長官を含む米高官の発言は、米側が領有権争いで特定の立場を取らないことをまず宣言し、「中立」の立場を明確にするもので、たとえ中国を批判しても領有権問題に直接触れることは慎重に回避してきた。だがカーター長官は領有権問題で言動を慎むどころか、「中国が海面下の岩礁を飛行場に変えても領有権を獲得することはできない」とわめき立てた。米軍側は南中国海問題における基本的立場を変え、南中国海における中国の合法的な主権権益への非難に転じ、南中国海紛争で公然と一方の側につくよう政府を後押ししようとしているのだとの推測を免れない。米軍側には南中国海問題を拡大して、中米関係の大局に災禍と騒乱をもたらそうとしている者がいるのだと警戒せざるを得ない。
カーター長官は中国に対して「強制的」手段で問題を解決しないよう要求する一方で、米側が軍事的プレゼンスを拡大して南中国海問題に対処することを提言した。カーター長官は、米国防総省が「東南アジア海上安全保障イニシアティブ」を発表し、議会も海上能力建設に4億2500万ドルを拠出することを明らかにした。カーター長官はさらに米国は「同盟国やパートナーと常に共にあり」、地域における同盟関係の役割を強化すると強調した。この前後の言動の食い違うやり方は、米軍が中国に対する防備と警戒を高めていることの反映だ。
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