最近、米ドルが勢いを盛り返すのにともない、ドル以外の通貨がこぞって値下がりし、特に値下がり幅の大きいのが日本円だ。円の対ドルレートは現在、2002年以来の最低を更新し、値下がりへの期待が強い中、円の投げ売りが市場の「共通認識」となっている。現在のような状況に直面して、「アベノミクス」の根強いファン達はひそかに喜んでいるのだろうか。というのも、通貨の値下がりと株式市場の高騰は政策決定者の当初からの狙いだからだ。だがすべての人がこのように楽観的に考えるわけではない。たくさんの不安の声が聞こえる中、国際通貨基金(IMF)は、「日本経済は円安に過度に依存してはならない」と警告を発し、日本の甘利明経済産業大臣も、「急激な為替変動は望ましくない」と発言。英国誌「エコノミスト」も、「安倍晋三首相は魔法使いか、それとも詐欺師か」と問いかけ、日本の主要紙「日本経済新聞」は円安で引き起こされる一連のマイナス影響について感情を交えない冷静な分析を行った。こうした批判の声の中、円安の魅力は大幅に減退している。
2012年末以降、アベノミクスは日本経済を牽引し、周期的な上昇を実現した。日本株の持続的な高騰が巨額の利益をもたらすと同時に、製造業購買担当者指数(PMI)、企業の利益率、インフレといった複数の経済指標が好転した。特に輸出産業が全体として再び活力を発揮するようになり、GDPの伸びを大きく牽引した。今月25日に発表された最新の輸出データをみると、日本の4月の商品輸出は年率換算で8%増加し、予測値の6%を上回り、日本経済にとって消費税率引き上げ後初の2四半期連続でのプラスとなった。ここからわかることは、輸出産業のこのような好調ぶりは、円安によるところが大きいということだ。
一般的には、ある国の通貨が値下がりするには、主体的な値下がりと受け身的な値下がりがある。ドルの上昇が円の劣勢を加速させるという受け身の値下がりに対し、これまで長く続いた大幅な円安は安倍政権の手で作り出されたもので、主体的な値下がりという部分が大きい。だが最近の市場の動きをみると、円の加速的値下がりはドルの値上がりによる受け身の要素が大きい。アベノミクスが持続的に進められる中、ドルの回復が円相場の今回の動きをさらに驚くべきものにしていることは確かだ。今月26日の東京外国為替市場では、円のレートは一時的に1ドル=123.33円まで値下がりし、7年10カ月ぶりの安値を更新した。それからわずか2日後の28日には、アジア市場での円相場は1ドル=124.14円まで下がり、約13年ぶりの最安値を記録。27日の銀行間外国為替市場では、100円の対人民元レート基準値は初めて100円=5元の水準を割り込んだ。11年10月に最高を記録してからこれまでの間に、円の対元レートは40%値下がりしたことになる。爆発的な円安と同時に、日系平均株価も北京時間の28日午前10時に00年4月14日以来の最高値を更新した。日本の財務省が公表したデータによると、今月23日までの週には、海外資本が持続的・大量に日本の株式市場に流れ込み、その規模は5612億円を超え、前週の1872億円の3倍近くになった。
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