中国人民銀行(中央銀行)がこのほど2014年の年次報告を発表した。同報告で、同銀行の頭取・周小川氏は、「昨年の時点で、47以上の国や地域の金融当局が、中国国内で元建ての金融資産を所有しており、それを外貨準備に盛り込んでいる。元は、一層人気があり重視される準備通貨となっている。元はまた、ドルに次ぐクロスボーダー決済貨幣となっている。中国とのクロスボーダー取引で、元で決済を行っている国や地域は189に達している」と紹介している。証券日報が報じた。
2015年のマクロ経済について、同報告は、「経済成長を押し下げる圧力が強まっているものの、合理的な範囲。改革、開放が一層深化し、革新駆動発展戦略が加速すれば、発展のポテンシャルが引き続き発揮され、約7%の経済成長を保つよう支えるだろう。これまで物価が急速に上昇してきたため、国民は物価に敏感になっている。予想物価は安定していないものの、その変動は小幅になると予測される」と強調している。
同報告はさらに、「人民銀行は今年、通貨政策の調整と改革の深化を緊密に結合させ、市場の資源配置における決定的な役割を一層発揮させる。まず、複数の通貨政策ツールを総合的に活用し、慎重なマクロ管理を強め、改善する。そして、政策の組み合わせを最適化し、適度な流動性を保ち、信用貸付や社会融資の規模を合理的に増加させる。2015年のマネーサプライは、M2が約12%増になると予測されている。次に、ストックを活用し、増加量の最適化を進めることで、経済構造の調整とモデルチェンジ・アップグレードを支える。3つ目に、金利の市場化と人民元為替レート形成メカニズムの改革を一層進め、金融資源の配置の効率を向上させるほか、金融調整・抑制システムを整備する。4つ目に、金融市場の体系を整備し、金融市場が、▽経済成長の安定化▽経済構造の調整、モデルチェンジ・アップグレード推進▽改革、開放の深化▽金融リスク予防――といった面で役割を十分に果たせるようにする。5つ目に、金融機構改革を深化させ、供給や競争を増やすことで、金融サービスを改善する。最後に、系統だった金融リスクを効果的に予防し、金融体系の安定を着実に守る」としている。
その他「2015年は、世界経済の全体的な回復の速度が速まると予測されるものの、大きなリスクも伴う」と指摘。そのリスク源として、▽ユーロ圏の経済回復▽主要エコノミーの運営とマクロ政策の分化▽世界的なデフレ▽世界的な原油価格の大幅変動---を挙げている。
周氏は、「2015年は、改革を全面的に深化させる上で、カギとなる年。全面的な法による治国推進が実施される年でもある。さらに、第12次五カ年計画(2011-15年)の最終年。人民銀行は、経済発展の新常態に積極的に対応し、共産党中央や国務院の重要な政策や業務配置に基づいて、マクロ調整・抑制や金融改革・発展業務を着実に行い、金融体系の安定した健全な運営を確保するほか、経済社会の継続的、かつ健全な発展を維持させる」と強調している。(編集KN)
「人民網日本語版」2015年5月29日 |