第2の矢は完全に射損なった。日本は減税で経済を活性化するということをせず、消費税率の引き上げに踏み切り、経済に深刻なダメージを与えた。日本経済のGDP成長率は14年第2四半期(4-6月)に1.9%に低下し、第3四半期(7-9月)にはさらに0.6%に低下し、2年ぶり2回目の低迷に陥った。第4四半期(10-12月)はプラスにとどまったものの、わずか0.4%だった。
第3の矢の構造改革は放たれてもいない。移民や女性の労働力は適切に活用されず、銀行の負債は改善されていない。こうした点は日本が長期的に経済低迷を解決していく上で、極めて重要なことになる。
経済専門書「通貨戦争 崩壊への最悪のシナリオが動き出した!」の著者のジェームズ・リカーズ氏は、「アベノミクスの3本の矢の成果はみえず、今後さらに改革を進めていかなければ、日本は3回目の『失われた10年』に突入する可能性がある」と警告する。
現在の日本の製造業購買担当者指数(PMI)をみると、再び低迷に向かっており、予想を下回るだけでなく、景気と不景気のボーダーラインである50%を下回ることさえある。
短期的にみれば、日本に残されている道は通貨の切り下げだけだ。これによってなんとか経済の低迷を回避することが可能だ。日本のインフレ目標が2%であり、日本が石油輸入国であることを考えると、円は1ドル=150円くらいの水準まで下がる必要があり、そうならなければ2%のインフレ目標は達成できない。
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