近年、「韓流」が中国やロシア、日本、欧米などで人気となっているほか、医療技術やサービスが日に日に向上しているのを背景に、医療観光で韓国を訪問する旅行客が増加を続けている。毎日経済新聞が報道した。
韓国の統計によると、過去6年の間に、医療観光で韓国を訪問した旅行客の数は計100万人。2013年だけを見ると、その数は、21万1218人だった。そのうち、26.5%が中国人旅行客。4725人だった09年と比べると10倍以上の増加となっている。
韓国世宗大学(ソウル)のホテル・観光経営学部の李忠勳学部長によると、13年、医療観光における中国人旅行客の消費額は6億元(約114億円)。つまり、一人当たりの消費額が平均1万元(約19万円)という計算になり、韓国を訪問している中国人旅行客の総消費額の25.8%を占めている。
中国人に人気の「美容整形ストリート」
さらに多くの旅行客を呼び込み、経済を刺激しようと、韓国は09年から、医療目的で入国する旅行客を対象に、申請を簡素化した医療専用の査証(ビザ)制度を導入した。筆者が取得した韓国の統計によると、09年から、医療目的で韓国を訪問する旅行客が毎年平均36.9%のペースで増加している。
李学部長によると、医療観光プロジェクトにおいて、歯の矯正を含めた美容整形が最も成功した分野となっており、その主な対象は若者となっている。
韓国の保健福利部の統計によると、13年、韓国の美容整形外科で診療を受けた外国人は計2万4千人。うち、1万6千人が中国人だった。14年には、その中国人の数が5万6千人に急増し、美容整形を目的に韓国を訪問する外国人10人に7人が中国人という割合になっている。「美容整形ストリート」があるソウル市内の狎鴎亭を取材したところ、美容整形を目的に同地を訪れるというのが中国人旅行客の「定番」となっている。顔や全身を整形してくれる店には、中国語の宣伝文句が並び、訪れる人を中国に来たような気分にもさせる。中国人旅行客に最も人気なのは、ヒアルロン酸の注入などの「プチ整形」だ。
現地の美容整形事情に詳しい陳さんは取材に対して、「ここでは3キロの範囲に整形クリニックなどが300-400件集中している。整った産業チェーンを形成している」と話す。
現在、世界の医療観光は、年間数百万人規模となっており、消費額も12年に1000億ドル(約12兆円)に達した。同分野が特に成長しているのはタイやインド、シンガポール、韓国、スイスなど。
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