経済・貿易関係以外では、中国と中南米全体の協力、BRICS体制、AIIBも両国指導者の今回の会議での重要な議題となる。中国と中南米との協力の問題では、ブラジルの態度は少し複雑である。第一に、中国の経済力の高まりに伴い、中国が中南米との協力を強化することは不可逆的な流れとなっている。第二に、中国と中南米との協力の展開は、中南米地域のインフラの発展を特に促進することとなり、「地域のコネクティビティを実現する」というブラジルの地域戦略目標と合致する。第三に、中国の中南米地域における空間的拡大はブラジルのこの地域における影響力を削ぐことになり、「地域のリーダーを目指す」というブラジルの地域戦略と矛盾する。地域の大国であるブラジルの中国・中南米協力に対する立場と取り組みは、協力推進のテンポを左右することとなる。BRICS新開発銀行やAIIBの問題では、両国は、協力の原則的な立場と段取りについて協議を進める必要がある。BRICSサミットの開催を6月にひかえた今回の訪問は、BRICS銀行を含む多くの問題について両国が話し合う重要な機会となる。AIIB問題については、ブラジルが求めているのは創設メンバーになることだけでない。ブラジルはAIIB参加を通じて、中国の「1ベルト、1ロード」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)戦略の南米大陸への延伸を促し、その力を借りてブラジルと南米大陸のインフラの更新とアップグレードを実現しようとしている。
中国とブラジルの関係は現在、転換とアップグレードの段階にある。転換は経済・貿易の分野に体現され、アップグレードは両国の国際・多角協力に体現される。李総理の今回の訪問は、両国関係の未来の行方に大きな重要性を持っている。一方では、中国とブラジルの経済・貿易関係に新たなエンジンを加え、経済・貿易発展の持続可能性を高める。もう一方では、両国の多角分野の金融協力をさらに強化し、両国関係のグローバルガバナンス分野での協力をさらに充実させるものとなる。(編集MA)
「人民網日本語版」2015年5月14日
|