統計に注目する人なら、「数字は物語る」という道理を理解している。新常態に対する印象が「減速」のみに止まっているのだとしたら、古い思考で新常態を見ており、統計の中に隠された重要なシグナルを見落としているということだ。専門家は「新常態の中国経済の核心的特徴は成長の質がより高くなり、かつ後に効いてくる力がより充足していることにある。だがこうした目玉はGDP成長率の数字のように容易には見えないため、より踏み込んだ比較と掘り起こしが必要だ」と指摘する。
■目玉1:経済構造の高度化
国家統計局が少し前に発表した今年1~2月期の工業企業利潤統計は総額こそ前年同期比で少し下落したが、経済構造上の積極的な変化を示している。石油・天然ガス採掘業、コークス・核燃料加工業は合計で利潤が738億8000万元減少。これは一定規模以上の企業全体の工業利潤減少額の2.2倍だ。一方、コンピュータ通信その他電子設備製造業、医薬製造業に代表されるハイテク製造業は利潤が24.7%増加した。これは昨年1年間の利益増加率を9.2ポイント上回る。
「2014年国民経済・社会発展統計公報」によると、2014年に中国の第三次産業生産額(付加価値ベース)は8.1%増加で、第二次産業の7.3%と第一次産業の4.1%を明らかに上回った。第三次産業がGDPに占める割合は48.2%に達した。
「技術の変革と需要の高度化に伴い、われわれの生産・流通方式には深い変化が生じている。インターネットに後押しされる形で、大衆の需要と企業の生産との双方向性も日増しに緊密化し、新常態下の中国経済の大きな目玉となっている」と、中国人民大学財政金融学院の何平副院長は述べた。
■目玉2:民生の持続的改善
経済発展の根本的目的は人々の生活水準の向上だ。雇用面では、昨年中国は経済の下押し圧力が比較的大きい中、都市部で過去最高となる新規雇用1322万人(前年比12万人増)を実現した。住民1人当たり可処分所得は2万167元で、物価要因を除いた実質成長は8%となった。このうち都市部住民の1人当たり可処分所得は実質成長6.8%で、農村部住民の1人当たり可処分所得は実質成長9.2%となった。
中国国際経済交流センターの鄭新立副理事長は「住民1人当たり可処分所得の成長はGDP成長率を0.6ポイント上回り、農村部住民の所得の伸びは都市部住民を上回った。これは住民の消費率の伸びをもたらし、構造調整の重大な成果でもある」と指摘した。
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