中国商務部(省)は、このほど発表した「世界の貿易構造報告」において、中国のクロスボーダーEコマース(EC)の輸出入額が1年あたり30%増の勢いで成長し、2016年には6兆5千億元(約123兆5000億円)に達すると予測した。中国情報化専門諮問委員会の楊国勳・副委員長は、「低迷している従来の海外貿易と比べると、クロスボーダーECは、国際産業チェーンの再構築や中国の海外貿易の方式の転換促進、世界における競争力の増強などに一役買う。今後競争が最も熾烈になり、経済発展を牽引する分野」と分析している。新華社が報じた。
2013年から、中国初のクロスボーダーECの総合試験区に指定されている浙江省杭州市は既に、同分野発展の模索を始めている。中国国務院が同試験区の設立を承認しているという政策面のメリットを生かし、杭州市はどのような試みを実施しているのだろう?
世界の物を買い、世界に物を売る
楊副委員長は、「クロスボーダーECは、商取引の中間の手間を省き、消費者にとって便利で、生産能力過剰という問題を改善し、中小企業に発展の道を提供するという役割を果たす以外に、国際産業チェーンの再構築や中国の海外貿易の方式の転換促進、世界における競争力の増強などにも一役買う。今後競争が最も熾烈になり、経済発展を牽引する分野」との見方を示している。
これまで、海外の購入代行サービスを利用すると、商品が届くまでに半月以上の時間がかかっていた。しかし、クロスボーダーECのプラットホームを利用すると、注文してから2-3日で商品が届き、値段も前者より安い。例えば、フィリップスのシェーバーは、中国国内では1800元(約3万4200円)で販売されているのに対し、海外では1000元(約1万9千円)ほどで販売されている。それを、クロスボーダーECのプラットホームで購入すると、1200元(約2万2800円)で購入できる。
「世界の物を買い、世界に物を売る」。現在、多くの中小型海外貿易企業や起業家達が、クロスボーダーECの輸出入業務に注目している。中国EC研究センターのモニタリングデータによると、2014年上半期、中国のクロスボーダーECの取引額は約3兆円(約57兆円)で、うち、小売が約3000億元(約5兆7千億円)だった。
業界関係者によると、クロスボーダーECの発展により、物流や決済、税関検査などの分野に新たな需要が生じている。取材では、近年クロスボーダーECが急速な発展を見せている背後で、中国各地における関連の政策や決済、税関検査などにおける監督、管理、サービスなどの整備が遅れていることが分かった。
楊副委員長は、「断片化や取引時間の短縮などを特徴とするクロスボーダーECは現在、従来の監督管理制度に調整を促していると同時に、多くの問題も潜んでいる。クロスボーダーECの位置づけを明確にし、その発展に適応した監督・管理、制度などを構築することで、規則だった発展を促進しなければならない」と指摘している。 (編集KN)
「人民網日本語版」2015年3月16日 |