安倍晋三首相は2014年11月に衆議院を解散し、総選挙に打って出た。約1か月後、安倍首相が率いる連立与党の自公両党が衆院選に勝利した。2014年を振り返ると、安倍首相の政権運営は「賭」がキーワードとなった。当初の輝かしいイメージと高く掲げた理想が失われる中、安倍首相は政治生命を延ばすためリスクを冒し、国内外の政治・経済で大きな賭けをした。
アベノミクスという手段
安倍首相は2012年に再任すると、アベノミクスを鳴り物入りで進めた。安倍首相は「3本の矢」と呼ばれる改革案を出し、失われた20年に陥った日本社会にカンフル剤を注入し、国民に見栄えの良い政策を示そうとした。
1本目の矢は、日銀の超量的緩和策による円安と株価高騰だ。2本目の矢は公共事業拡大による地方経済の刺激だ。しかし時間の流れと共に、この2本の矢が日本経済を衰退から救えないことが明らかになった。
安倍首相は今年6月24日に、経済の3本目の矢を放った。これは税制・投資・農業改革を含む一連の経済改革案で、これにより経済の潜在的な成長率を高めようとした。この情報が伝わると輿論が騒然とした。業界内では、3本目の矢の大半の措置はすでに時代遅れであり、より深い構造的な問題を回避しているとされた。安倍首相のこの改革は、雲をつかむような内容で、的から大きく外れている。
内閣府が12月8日に発表した第3四半期の国内総生産(GDP)確報値は、速報値を下回り年率換算で1.9%減となった。これは日本経済の成長力不足を露呈した。
政治生命の賭け
アベノミクスのバブルが破裂し、安倍首相は「権力争い」に専念し、悪いイメージを払拭し政治生命を延長しようとした。安倍首相は11月中旬に解散・総選挙を発表し、輿論から「大きな賭け」とされた。
安倍首相の今回の賭けは、豊富な収穫を手にした。過去最低水準の投票率、野党の準備不足により、安倍首相が率いる自公両党は改憲を発議できる3分の2以上の議席を占める圧勝に終わった。安倍首相が衆院選勝利により、来年9月の自民党総裁選に勝利する材料を追加し、長期政権運営を現実にしようとしていることは間違いない。
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