世界のチャンスを中国のチャンスに変え、中国のチャンスを世界のチャンスに変える。これが中国と世界の関係の基調だ。中国外交はまさにこの基調に順応して、中国と世界の時代の旋律を紡ぎ始めた。(文:王義桅・中国人民大学国際問題研究所所長、国際関係学院教授。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
李克強総理のユーラシア諸国歴訪は今年の中国総理外交の最終章であり、来年の中国外交の地ならしでもある。李総理は14日、カザフスタン公式訪問および第2回中国・カザフスタン定期首相会合、第13回上海協力機構政府首脳理事会会議への出席を開始した。続いてセルビアを公式訪問して第3回中国・中東欧諸国首脳会議に出席し、タイで第5回大メコン圏経済協力首脳会議に出席する。
李総理のユーラシア諸国歴訪の際立った意義は、「1ベルト、1ロード」(シルクロード経済ベルト、21世紀の海のシルクロード構想)外交の全面的推進というラッパを吹き鳴らしたことにある。中央経済政策会議は先日、来年「1ベルト、1ロード」の全面的実施段階に入る方針を打ち出した。「1ベルト、1ロード」は中国のチャンスと世界のチャンスをドッキングさせる橋梁であり、それぞれ陸路と水路からこれを貫徹する。
陸路について言えば、李総理の上海協力機構政府首脳理事会への出席は、主としてシルクロード経済ベルトと上海協力機構のドッキングを実現するものであり、上海協力機構に発展の新たな原動力を与えるとともに、シルクロード経済ベルトの安全な構築のプロセスを切り開く。安全と発展はわれわれの時代の基調だ。上海協力機構が「3つの勢力」(分離独立派、宗教過激派、テロリスト)対策を主要な趣旨とする安全保障組織として、シルクロード経済ベルトを契機に、安全保障分野から発展分野へと拡大し、安全と発展の相互補完・相乗効果を実現する。これが今回の李総理の上海協力機構政府首脳理事会での主要な使命だ。ロシアが上海協力機構を信頼し、重んじていることで、中露が連携して「1ベルト、1ロード」の構築を推進する可能性が出てきた。
水路について言えば、大メコン圏経済協力は、陸のシルクロードと海のシルクロードをつなぐ橋梁だ。大メコン圏協力は、合同法執行に成功した実践によって、中国の打ち出した共通、総合、協調的、持続可能を主たる内容とするアジア新安全保障観を十分に実行するとともに、中国・ASEAN自由貿易圏によって「親、誠、恵、容」という中国周辺外交理念を十分に示した。海のシルクロードと陸のシルクロードをつなぐ大メコン圏経済協力は、中国の提唱するアジア新安全保障観と周辺外交理念の具体的実践だ。
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