ウクライナ情勢は世界経済にどのような影響を及ぼすだろうか?リッチモンド連銀総裁のジェフリー・ラッカー氏は、ウクライナからのリスクは現在コントロール可能で、影響は限られていると判断した。他にも多くのエコノミストが、同じような観点を示している。全体的に見て、ウクライナ情勢は小さな出来事ではないが、大事にもなっていない。ウクライナ経済は規模が小さく、欧州のエネルギー供給はロシアに依存しているため、米国がこの件を巡りロシアと争うことはない。
これらの暗黙の了解とも呼べる海外市場の評価と反応は、中国にとって何を意味しているだろうか?
まず中国のエネルギー輸入構造が改善される可能性がある。エネルギー輸入は中東に、輸送ルートはマラッカ海峡に依存しているが、これは今の中国が直面している制約要素だ。東北・西北のエネルギー供給ルートを拡大できれば、中国のエネルギー安全がさらに保障される。現在の情勢は、この目標の達成を促している。欧州の東への拡張と、ロシアの天然ガスへの依存との間で、矛盾がより表面化している。米国は天然ガスを欧州に輸出し、ロシアの握っているエネルギーのカードに対応することを検討し始めている。ホワイトハウスは、米国が欧州への天然ガス供給を許可したとしても、輸出は2015年末にずれ込むとしている。しかしロシアは今のうちに備えをし、新たなエネルギー輸出ルートの開拓を検討する必要がある。地域経済および市場の規模を見ると、中国がその最優先の候補者となるだろう。
次に、中国の対ロシア投資が歓迎されている。2012年末までのデータによると、対露投資の上位3カ国はキプロス(767億4000万ドル)、オランダ(614億9000万ドル)、ルクセンブルク(427億4000万ドル)で、中国(279億2000万ドル)は4位につけている。中露の間には、経済の高い相互補完性がある。中国の低コスト製造業、ロシアの豊富な自然資源は、両国が互いに欲するものだ。ロシアとウクライナの関係が近年膠着状態に陥る中、中露関係は日増しに親密さを増している。ウクライナ情勢がロシア経済にもたらした損失を修復し、外資撤退後に残された空白を埋める必要がある。これにロシアにもとより存在する外資の需要が加わり、中国の投資家はチャンスを迎えるだろう。
このほか、軍需産業が利益を得る可能性がある。ウクライナは旧ソ連の重要な軍需産業拠点で、世界軍需産業構造の中で重要な地位を占めている。情勢が悪化を続け「脱露入欧」に至れば、その航空・宇宙、造船、動力に関する技術が拡散するだろう。中国は条件が備われば、軍需産業の強化を断る理由はない。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年3月12日
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