だが08年に国際金融危機のダメージを受けて、中国経済の伸びが鈍化し、資源製品への需要が急速に減少した。石炭などの鉱物資源の価格が大幅に低下したことにより、内蒙古の経済は持続的発展のエネルギーを失った。
その一方で、国の政策による天津市への支援作用が明らかになり始めた。05年から浜海新区が第11次五カ年計画(2006-10年、十一五)に組み込まれ、国の発展戦略に取り入れられ、国が開発開放を重点的に支援する国家クラスの新区になり、天津は急速に人気の投資先となっていった。また天津のGDPも比較の対象となる数字が低く、11年にやっとGDPが1兆元を突破して1兆1307億2800万元になった。比較対象の数字の低さと政策のてこ入れが作用しあい、天津は10年にGDP増加率1位の座に着くことになった。
北京市と上海市は10年以降、3年連続でGDP増加率が最も低い2都市となっている。ある専門家によると、両市は経済規模が大きく、比較対象のGDPデータも大きいため、増加ペースは相対的に遅くなる。これが内蒙古や天津との最大の違いだ。また北京などで経済成長率が鈍化したのは主体的な調整の結果でもある。北京は構造調整、モデル転換、後れた生産能力の淘汰、ハイテク技術の投入拡大に努力しただけでなく、経済成長の目標を主体的に引き下げ、今後は国民生活の保障と改善により多くの資源を投入するとしている。
過去10年間を振り返ると、天津と内蒙古がGDP増加率でトップに立った。「GDPだけで英雄を目指さない」という大きな流れを背景にして、これからの地域経済の発展局面にはどのような変化が現れるだろうか。
国家情報センター経済予測部の祝宝副主任(チーフエコノミスト)は、「今は発展の遅い地域ほど潜在力がある。たとえば中部・西部地域で、これからGDP増加率でトップに立つ可能性がある」と指摘し、次のように述べた。中・西部の一人あたり平均収入・消費構造には発展への大きな潜在力がある。たとえば多くの人が家や車を買う必要に迫られれば、経済の伸びは消費に牽引されて大幅に高まる可能性がある。国は1局の将棋のようなもので、バランスよく発展しなければならず、地域ごとにふさわし発展がある。各地の優位点に基づいてそれぞれのプロジェクトを発展させると同時に、環境汚染などの問題にも注意しなければならない。(編集KS)
「人民網日本語版」2013年11月8日 |