安倍内閣にとって「エネルギー外交の積極的展開」は、エネルギー危機解決の唯一の選択肢だ。安倍内閣は今年に入り世界各地を訪問している。その重要目的の1つが石油・天然ガス輸入ルートの開拓だ。安倍首相はすでに中東を2回訪問したほか(10月末には3回目の中東訪問を行う)、ロシア、東南アジア諸国、モンゴルも訪問し、中央アジア諸国との関係も強化した。来年初めにはエネルギー資源の豊富なアフリカ大陸を訪問する。これら全ての外遊のキーワードは、無論「エネルギー」を置いて他にない。だがこれらの外遊はいずれもこれまでの歴代内閣のエネルギー外交構想に沿ったものであり、ブレークスルーや転換とは言えない。「転換」と真に言えるのは、9月下旬の安倍首相によるカナダ、米国訪問だ。
安倍首相のカナダ訪問の重要任務はカナダ産シェールガスの輸入交渉だった。米国ではここ2年間に天地を覆すような「シェールガス革命」が起きた。カナダと米国はともにシェールガスの生産に力を入れている。これは日本にとって、エネルギー外交戦略の転換点となる。日本と北米地域のシェールガス協力の強化は以下の事を意味する。
一、日本は米国産シェールガスの輸入拡大を切り口に日米同盟の中身を拡充できる。これは安倍首相が推し進めている日米関係の強化にとって「潤滑剤」や「推進剤」の作用を果たす。10月3日に日本で行われた日米2プラス2では日米同盟の強化が打ち出された。だが日米同盟強化の中身について詳しく見れば、「シェールガス」がその紐帯となるはずだ。米国は現在シェールガスの生産規模を拡大し続けており、日本は安価で手軽に輸入できる石油・天然ガスの生産地を探し求め続けている。日米が同盟関係の強化を決めた以上、シェールガス協力を強化するのは自然な流れだ。今年5月には日本のエネルギー企業複数が米メリーランド州、テキサス州とシェールガス開発・供給契約を締結した。米国は2017年以降、シェールガスでつくる液化天然ガス(LNG)を年1470万トン日本に輸出する。これは日本のLNG需要の20%に相当する。
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