また、日本の7月のCPIは前年同月比0.7%上昇した。これは2008年12月以来の水準で、日銀の設定したインフレ目標2%にどんどん近づいている。五輪が円安によって物価水準を高めれば、アベノミクスは成功を収める。
■冷水も
だがこうした楽観的な予測は、五輪効果を過大評価しているのかもしれない。
1964年の五輪は想像するような「奇跡」をもたらさなかったとの指摘がある。日本政府は当時30億ドル近くの投資を行ったが、実際の観光客誘致数は予測の3分の1しかなく、多くのインフラが初期には十分に活用されず、資金回収が遅れ、五輪後に日本経済はいったん停滞すらした。
東京の既存のインフラはまだ継続して使用でき、再び五輪を開催しても、大量のインフラ事業はもたらされない。したがって、牽引効果は想像するほど大きくはならない。
歴史事実はまた、五輪と経済には決して完全な正の相関はないことを告げている。モントリオールとアテネは五輪開催が禍根を残した。
重大なスポーツ競技と政治は無関係というのは明らかに幼稚な考えだ。ある専門家は、東京五輪によって日本はアジアでの孤立を和らげ、スポーツの「脱政治化」の助けを借りて隣国との緊張関係も緩和できると分析する。金融緩和、財政出動の拡大、民間投資の喚起という「3本の矢」がすでに放たれ、現在「強心剤」を欠く中、安倍首相の五輪招致への決意がこれほど大きい理由は容易に理解できるとの指摘もある。五輪開催によって景気を刺激し、社会矛盾を緩和することができる。五輪を理由に許容範囲ぎりぎりの政策も多く打ち出すことができる。
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