姜文「妻よ、今回は俺たちが人気を独り占めだ」
■アジア映画ブーム、論争を巻き起こすことが予測される話題の映画
すでにベネチア国際映画祭の生涯功労賞を獲得している宮崎駿監督は、04年第61回の「ハウルの動く城」や08年第65回の「崖の上のポニョ」に続き、新作「風立ちぬ」が金獅子賞を競うコンペティション部門に出品された。全編を通して描かれているのは反戦のメッセージや宮崎監督の死生観だ。これが評価され、すでに日本の公開が始まっていたにもかかわらず、異例として正式な出品作品に選出された。
1994年に「愛情万歳」で金獅子賞を獲得した台湾の蔡明亮(ツァイ・ミン・リャン)監督は、新作「郊遊」で中国語映画として唯一コンペティション部門に選出された。本作品は2009年にフランス・ルーブル美術館の依頼で製作した映画「ヴィザージュ」に続く新作で、蔡明亮監督にとっては11作目にあたる。新作はすべて台湾の台中でロケが行われ、監督が長年起用し続けている李康生(リー・カンション)が不動産会社の社員に扮している。劇中では主人公と家族が郊外にピクニックに行った際の出来事を描き、都市と人間の関係を表現している。誰もが静かな、自分だけの世界を必要としており、何ものにも拘束されない自由自在な感覚をもがきながらも探し続けている。いかにも蔡明亮らしい作品であり、見る人によって好き嫌いがはっきりと分かれる映画だ。
韓国映画では、昨年金獅子賞を獲得したキム・ギドク監督の新作「メビウス」がコンペ部門ではなく、非コンペ部門に出品されたことに驚く人が少なくなかった。しかし、ある分析によると、これは昨年大きな物議を醸した映画「ピエタ」が金獅子賞を獲得したことと関係しているという。しかし、どちらにせよ「メビウス」は依然として大きな注目を集めている。劇中では母子間のセックスシーンが含まれることから、これまでに2回に渡って韓国映像物等級委員会に制限上映可等級の審査判定を受け、事実上の上映禁止となっていたが、最終的には3回の審議を経た後、問題のシーンをカットして、青少年観覧不可等級を受け、9月5日より韓国で公開されることになった。
現在、大きな議論を引き起こすことが予測される話題の映画は、米国のエロール・モリス監督の「The Unknown Known(原題)」(ザ・アンノウン・ノウン)やキム・ギドク監督の「メビウス」のほか、現在話題となっている「同性愛恐怖症」を描いたグザヴィエ・ドラン監督の「Tom à la ferme(原題)」(農場のトム)、さらにイスラエル人監督のアモス・ギタイ監督の「Ana Arabia(原題)」(アナ・アラビア)などがある。「Ana Arabia」は、最初から終わりまでワンカット85分間の長回し映画で、一人の若い女性記者の目を通して、イスラエルのヤッファとテルアヴィヴ近郊のバッ・ヤムの境界線地域で暮らすユダヤ人とアラブ人の物語を描いている。
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