世界のホテルなどの宿泊施設のオンライン予約サービスを提供しているホテルズドットコム(Hotels.com)は 21日、中国人観光客の海外旅行報告書(2013年度)を発表した。同報告書は「中国で中流階層が台頭するにつれ、海外旅行は富裕層だけの『特典』ではなくなった。現在、中国人観光客の約70%が個人旅行を選んでおり、団体旅行を選んでいる人は3分の1以下となっている。各ホテル側も、中国のクレジットカードに対応したり、中国語の話せるスタッフを配置するなど、中国人観光客を対象にしたサービスを改善するよう努力している」としている。これに対し英紙「フィナンシャル・タイムズ」は、「同報告書は、英国の観光当局に警笛を鳴らしている。なぜなら、英国政府が実施している政策は、中国人観光客の個人旅行の新たな動向に沿わないためだ」と指摘している。環球時報が報じた。
同サイトが中国人観光客に関する調査報告書を発表したのはこれで2回目。同調査は中国人観光客3000人と世界のホテル1500件を対象に実施された。「フィナンシャル・タイムズ」によると、同調査の回答者の平均年収は1万7750ドル(約177万5000円)。これは中国人の平均年收の約2倍だ。一方、回答者の約4分の1は收入が1万1300ドル(約113万円)以下だった。同サイトの最高マーケティング責任者(CMO)は、「海外旅行に出かける中国人観光客は拡大の一途をたどっている。その中には、ぜいたく品販売業者が関心を寄せるエリート層も確実に存在している。ただ現在は、中流階層が中国人観光客の主な部分を占めている」と語る。同紙によると、中国人観光客が海外旅行時に使うお金は、ほかのどの国の観光客よりも多いという。世界観光機関(WTO)によると、2012年、中国人観光客の海外旅行中の消費額は計1020億ドル(約10兆2000億円)に上った。海外旅行に出かける中国人の数は、2012年の8300万人から2020年には2億人に増加するとの予測もある。
同紙は、「さらに多くの中国人観光客を呼び込むため、英国政府は今年、中国からのツアー旅行者がビザを取りやすくするように計画しているが、この対策は上記の動向とは合わない」と指摘している。ホテルズドットコムの報告によると、ほとんどの中国人観光客がツアー旅行ではなく個人旅行を選んでいる。そして、中国人観光客の約5分の1が、旅行を計画する際の重要な要素として「ビザ申請の難易度」を挙げている。英国は、ヨーロッパの国家間において国境検査なしで国境を越えることを許可する「シェンゲン協定」に参加していないため、中国人観光客にとってはビザの申請が問題となり、これは英国の小売業や旅行業にとっても、頭の痛い問題となってきた。
一方、ニュージーランド紙によると、「中国人観光客が宿泊者全体の約5%を占める」と回答したホテルは75%に上り、「中国人観光客が過去1年で増加した」としたホテルは45%に達した。ホテルの経営者は、この先3年で成長する市場として「中国」に目を付けており、ホテルの10分の1が、中国人観光客が50%増加すると予測し、半数が11-50%増加すると予測している。ニュージーランドでは2012年、中国人観光客の消費額が6億7300万ニュージーランド・ドル(約518億円)に達し、前年比42%増だった。
また、同調査では中国人回答者の約4分の1が「外国のホテルは、料金の支払い方法の面で、中国人向けに改善するべき」と答え、4分の3が「ホテルの歓迎の言葉やサイト、テレビ番組、新聞などを、中国人を対象にしたものにしてほしい」、約半分が「ホテルには中国語が分かるスタッフを配置してほしい」と回答した。同誌は、「中国人観光客の旅行スタイルは今、大きく変わろうとしており、同報告は世界のホテルが今後どのような対応をするべきかを教えてくれている」と指摘している。 (編集KN)
「人民網日本語版」2013年8月23日
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