国際通貨基金(IMF)がこのほど発表したデータによると、世界で最も高騰する不動産市場10カ所のうち、中国の市場が7カ所を占めた。CCVI中国バリュー指数のチーフ研究員である崔新生氏の指摘によると、中国の不動産価格のコスト構成が、中国の不動産価格と世界の他国の不動産価格との差異を生み出している。これまで中国式の不動産価格上昇を推進する主な要因は国内総生産(GDP)の成長モデルだったという。「国際金融報」が伝えた。
中投顧問の不動産業研究員の殷旭飛氏によると、中国の不動産価格は世界で最も不合理なものになっている。その根本的な原因は、国内の経済構造がアンバランスで、不動産が居住という機能からはるかに隔たってしまい、投資や投機の主要な選択肢になってしまったことにあるという。
▽高騰市場10カ所中、7つを占める
IMFの発表によると、世界で最も高騰する不動産市場(都市)は上から順に、北京、上海、深セン、香港、天津、東京、シドニー、広州、ロンドン、重慶。中国の都市が7カ所を占め、上位5カ所を独占している。
注目すべきは、IMFのデータは不動産価格と給与の比率をみてそれぞれの都市の人々が不動産価格を受け入れられるかどうかを表したもので、単純に不動産価格の絶対価格を算出したものではないということだ。不動産価格と給与の比率とは、ある都市の平均不動産価格の平均可処分所得に対する割合だ。
たとえば米国・ニューヨーク市のマンション価格のミッドレンジは一般世帯の年収の6.2倍あまりだ。だが北京市の中心部でマンションを買おうと思えば、四半世紀分の収入くらいの資金が必要だ。また中国では新築物件の価格が2013年6月に前年同月比7.4%上昇し、上昇幅は12年12月以来最大だった。
崔氏は次のように話す。中国の不動産価格はすでに一般世帯が買えるものではなくなっている。これは中国経済の発展にとって非常にマイナスだ。現在のような不動産価格の上昇傾向は、最終的に不動産取引量の停滞につながり、不動産市場の崩壊をもたらす。「ゴーストタウン」もあちこちに出現することになる。
殷氏は次のような見方を示す。高い不動産価格は一般市民の消費力を上回り、不動産を買えば消費水準や生活の質を落とさざるを得ず、心や体にさまざまな圧力がかかることになる。国内経済にとってもよいことではなく、国際経済が落ち込む中で、国際市場における投資や輸出が停滞し、経済成長を牽引するトロイカ(投資、輸出、消費)が問題にぶつかることになる。もしも国内消費がさらに縮小すれば、経済発展には深刻な打撃となり、今後短期間は不動産価格は上がることはあっても下がることは難しくなる。
|