古道は人類が造り上げた重要な文化遺産であり、古道や沿道に建てられた建築施設は通常人類の知恵と文化的景観が凝縮されている。しかし古道遺産の保護は範囲が広い上に、損なわれやすく、古道に託された精神文化などをどのように伝えるかといった難題も抱えている。現在、世界で「世界遺産」に登録されている古道はわずか2つだ。2004年7月に登録された日本の「紀伊山地の霊場と参詣道」はそのうちの一つに当たる。カンボジア・プノンペンで16日から開催中の第37回世界遺産委員会に合わせ、記者はこのほど熊野古道を訪れた。日本がいかにして「古道」を文化遺産として保護してきたかを探ってみた。「新華網」が伝えた。
熊野古道は日本の本州の紀伊半島の南部に位置する。和歌山県、三重県、奈良県の3県を跨ぐ全長約1000キロメートルに及び、沿道には高く険しい山脈の間に熊野本宮大社などの神社や寺が点在し、これらの宗教的建築群に通じる3つの古道からなる。緩衝地帯も含めると、熊野古道にかかわる文化遺産の保護範囲は極めて広い。
(1)管理態勢の整備
地元の旅行会社「熊野交通社」の西瀬さんによると、和歌山、三重、奈良の3県は、保護するべき範囲が広く管理が難しいという問題を解決するため、「世界遺産」申請に着手した後、官民が共同で管理する仕組みを構築した。三重県の地方自治体はそれぞれ詳細な管理計画を制定、各地の団体や住民からなる保存会を古道沿道の峠に設立し、周辺の道や遺跡を分担して管理するようになった。また、ネット上に専門のホームページを作成し、3県の間で情報交換などが行われるようになった。
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