中国科学院上海生命科学研究院・計算生物学研究所の徐書華氏率いる研究チームが行った最新研究によると、中国の漢民族と日本人の間には、遺伝子発現の面で顕著な違いが存在し、遺伝的変異の寄与率は7%から43%に達した。中国新聞網が伝えた。
漢民族と日本人は同じ遺伝的起源を持ち、外見的な特徴でも高い相似性を持つ。しかし、それにもかかわらず、漢民族と日本人は一般的に、見た目で見分けられるという印象がある。これは多分、文化や行動・しぐさの違い、それに伴う何らかの視覚的な違いによるものであろう。
では、生物学的な角度から見た場合、漢民族と日本人の間には一体どのような違いが存在するのだろうか?この違いは環境の違いによってもたらされたのか、遺伝的要因によるものなのか?徐氏らの研究チームはこの問題に取り組み、遺伝子発現プロファイルからの探求と検討を行った。
研究チームが漢民族と日本人の全遺伝子の発現プロファイルを細かく分析したところ、漢民族と日本人の遺伝子発現プロファイルには全体的に違いが存在することが分かった。漢民族と日本人は外見および遺伝的起源には相似性があるが、ゲノムの角度から見れば大きな違いがあるということになる。
研究チームの行った比較分析の結果、これら2つのグループ間には発現に大きな差異が見られる遺伝子が存在することが分かった。また、複雑形質関連解析データベースの検索と遺伝子の機能注釈を通じ、これらの遺伝子の一部は血液・生物化学的特性と関係があり、一部は身長や一部の疾患と関係があることが判明した。ただし、疫学調査データと最終的な表現型データに欠けるため、現時点では具体的な関連およびメカニズムは不明だという。
同研究により、漢民族と日本人の間には、地理、言語、文化面の違いだけでなく、生物学的な違いも存在することが分かった。これらの違いは今後の自然科学研究により、より正確に定量化され、客観的に記述されるだろう。この研究結果はMedical Genetics誌オンライン版に掲載され、「遺伝子発現と遺伝的変異の関連性の理解に役立つ」、「近縁集団間の表現型の差異をもたらす分子メカニズムの解明に役立つ」と評価された。(編集SN)
「人民網日本語版」2013年6月21日
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