胡董事長によると、イノベーションとは資金の投入だけではない。旧ソビエト連邦は研究開発費用の国内総生産(GDP)に占める割合が欧州や米国よりも高かったが、20世紀を通じてイノベーション大国になったことは一度もない。これは制度と非常に関連している。米国の経済学会で主席を務めたことのあるスティーブ・バルマー氏はかつて次のように述べた。問題はイノベーションだけにあるのではない。米国のトップレベルの研究所や大学はどこにでも非常に優れた中国人の若手人材がおり、彼らは学術レベルや研究・イノベーションの能力は高いが、教員やポストドクターになることを望み、起業しようとはしない、という特徴がある。中国には米国のナスダックのように真の意味で企業のイノベーションを支援する資本市場がなく、資本市場の奨励メカニズムがなく、最も優秀なイノベーション人材はあえて冒険して起業しようとはしない。真の、長期的なビジネス上の成功は、イノベーション、企業家の能力、資本市場を有機的に結びつけた人のものだ。
▽第三の難問:信頼
中国で企業を経営する際、企業家の多くが真の意味で「信頼」を得るのは難しいと話す。台湾地区の仏教の大家・星雲法師はフォーラムの席で、企業家は稼ぎたければイノベーションをやり、慈善活動を行い、次世代を育て、社会への還元を考えなければならないと述べた。
信用システムが整っていないだけではない。北京大学の張維迎教授によると、政府と市場の境界線をどのように引くかということの意味が非常に大きい。政府は管理やコントロール、行政審査を緩め、市場にもっと役割を発揮させる必要があるという。
問題はこの3つの難問だけではない。同日行われた中国民間企業家円卓会議では、中国共産党第18回全国代表大会(十八大)後の新指導部がうち出した政策シグナルに対し、民間企業家から安堵の声が上がった。今回のフォーラムでは多くの企業家に関する議題が取り上げられただけでなく、フランスの週刊誌「ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール」が伝えたように、自動車と社会、経済のモデル転換と不動産市場の調整といった議題が取り上げられた。また中国政府が食品の安全性に関する問題を非常に重視している姿勢がうかがえたという。(編集KS)
*◆は玉へんに行
「人民網日本語版」2013年4月8日
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