南中国海ではすでに大波が逆巻いており、厳しい情勢に囲まれている。それまでの「6カ国7者」間の紛争は、米国の大幅な介入によりますます複雑化し、時には中米軍事力間の一触即発の事態まで起きている。日本がいわれなく加われば、間違いなく火に油を注ぐことになる。中国は一貫して南中国海のほとんどの水域と島嶼に対して議論を差し挟む余地のない歴史的主権を有していると述べてきたし、いかなる代価を払うこともいとわず核心利益を守ることを誓っている。過去数年、日本は中国を牽制するために、東中国海、特に釣魚島について争い、しかも米国と協力して徐々に南中国海に介入し、相当な敵意を見せている。今、自衛隊の活動範囲を本当にここまで拡大するというのであれば、中国に対するいっそうの挑発行為となり、中日関係は甲午海戦(黄海会戦)直前のような緊張した情勢に陥ることは必至だ。
もしかしたら、こうした一連の危険な前途を見通したがゆえに、安倍首相の安保新法案国会通過に反対する抗議活動は急激に盛り上がり、さらには自民党内部からも疑問の声が湧いているのかもしれない。有識者たちは、安倍首相の行為が次第に制御不能になり、日本を再び歴史の悲劇へと追い込んでいることに気づいている。それだけではなく、世界反ファシズム戦争勝利70周年にあって、安倍首相の間違った歴史観は驚くべきものであり、なおかつなんら隠すところがなくなっている。驚くことに、日本が当時周辺諸国を「侵略」したことを認めず、日本のポツダム宣言受諾は「降伏」ではないと認識しているのである。
6月10日、日本の国会は「防衛省設置法」改正案を可決し、防衛省と自衛隊が60年余り続けてきた「文民統制」制度を廃止した。もともと文官(官僚)が武官(自衛官)を統制してきた体制は、文武が同等の参謀権と建議権を持つ体制へと変わり、防衛省と自衛隊の自衛官側の発言権が強まり、それによって日本の安保体系にとっての安全弁がまた一つ減った。[軍艦安倍号」は係留ロープを断ち切って日本水域に船出し、より広々とした、そしてより危険な行き先に向かおうとしている。これは日本の国と民衆にとって内憂であるだけでなく、アジアの安全と安定にとっても災いの始まりである。
「北京週報日本語版」2015年6月25日 |