カゴメは当時、日本の果汁・野菜飲料市場をほぼ独占していたが、中国の消費者はこの頃まだジュース商品に対する理解が十分でなく、カゴメの宣伝は不足気味で、商品の味も中国人消費者の好みに合っていなかったことから、大陸部の高濃度ジュース市場のチャンスをつかみ取ることに失敗した。
公開された資料によると、05年に中国市場に進出したカゴメは、「中国ジュース市場のトップになる」という壮大な志を胸に秘めていたが、現実には経営状況はそれほど楽観できるものではなかった。05~10年の5年間に売上高は伸びたものの、利益を上げるところまではいかなかったのだ。
▽ライバルが激増
調査会社・尚普諮詢がまとめたデータによると、昨年上半期の中国果汁・野菜飲料産業の売上高は553億6200万元(1元は約19.2円)に上り、前年同期比6.07%増加し、利益は39億2300万元で同16.24%増加した。売上高の急速な伸びと利益の相対的な高さから、匯源や味全をはじめとする多くの企業がそれぞれジュース商品を発売し、市場には多くのブランドが出回って好調な売り上げを出すようになった。
中国食品ビジネス研究院の朱丹蓬研究員は、「ここ数年の国内消費者の消費力の増大と健康意識の高まりにともない、ますます多くの消費者が健康というコンセプトをうち出した果汁・野菜飲料を好むようになったが、全体としてみると、ジュースはまだ幅広く普及しているとはいえない。一定の消費層を育成するためにまず企業が大々的な取り組みを行い、資金も投入すべきだが、カゴメがこうした努力をしてこなかったことは明らかだ」と分析する。
また業界関係者は、「カゴメの退場はこれからますます激しくなる大陸部ジュース産業の競争の縮図なのかもしれない。ますます多くの企業がこの分野に進出しており、消費者の好みに合った商品を次々に開発し、健康イメージを浸透させることが出来たブランドしかよりよい形で生き残ることはできない」と率直に述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年3月6日