1994年、榮久庵憲司氏は中国の電機メーカー・ハイアールと提携して工業デザインを中核とする青島海高工業デザイン会社を設立し、優れたデザイナーの人材を数多く輩出してきた。現在、海外進出を実現させたハイアールは世界的に無数の情報センターとデザインセンターを持っているが、冷蔵庫や洗濯機、テレビなどの電化製品が中国から世界の市場に進出する過程において、すべて榮久庵憲司氏が重要なデザインを担当してきた。ハイアールが国際デザイン大賞を獲得したビルトイン仕様のワインセラーや「小小神童」シリーズの洗濯機のデザインも、その背景には日本から来た、中国の工業デザインの発展に大きな関心を寄せていた榮久庵憲司氏の存在があった。
ICSID(国際インダストリアルデザイン団体協議会)最高栄誉賞、IDSA(米国工業デザイン協会)世界デザイン大賞、ICSIDコーリング・キング賞、デザインのノーベル賞といわれるイタリアのコンパッソ・ドーロ(黄金のコンパス賞)国際功労賞など、榮久庵憲司氏のプロフィールを見ると、そこには無数の世界最高峰のデザイン賞が並んでいる。しかし、その中で最も印象深いのは、榮久庵憲司氏が若いデザイナーに常に忠告していたという言葉だ。「あなたがたは、自分の力でデザインを通し、地球上の人々の生活環境や精神状態を改善し、世界でより多くの自由と民主主義を実現させることができることを理解しなければならない」。
これは、榮久庵憲司氏が常日頃語っていた、「インダストリアルデザインの目的は人に尽くすことであり、それは金持ちだろうと、貧乏人だろうと分け隔てることはない」という言葉を彷彿させる。
(編集MZ)
「人民網日本語版」2015年3月5日 |