日本で製造された家電製品は1980~90年代に一斉を風靡したが、中国や韓国のメーカーの勃興とともに、日系メーカーは徐々に力を失っていった。現在の安倍晋三首相がうち出した3つの緩和措置により、円安が急速に進行し、これにアジア地域の人件費の上昇が加わって、日系メーカーの多くが円安調整の流れに従い、日本国内の生産ラインの生産能力向上をはかるようになった。だが日本は膨大な貿易赤字を抱え、輸出は期待ほど伸びておらず、「メードインジャパン」という新しいカードを切ることで捲土重来を果たせるかどうかは、今は未知数だ。中国新聞網が伝えた。
他の先進国と同じく、日系メーカーも長らく生産ラインを人件費の安い国に移転させてきた。こうした傾向は2008年の金融危機で円高が進行するとますます明らかになった。安倍首相が就任して円安を促し、円の対米ドルレートは2012年の1ドル=80円程度から現在は1ドル=117.5円程度まで下がり、日本の生産コストを大幅に引き下げた。これに他の要因も加わって、電子産業を中心とした日系メーカーの間では国内に回帰して工場を設立する流れが生まれた。
キャノンのスポークスマンは、「カメラ、コピー機、医療機器の日本での生産量を増やす計画で、全体に占める割合を現在の40%から60%に引き上げ、ほぼ09年の水準にすることが目標だ」と明らかにしている。シャープのスポークスマンも、「空気清浄機、冷蔵庫、テレビの海外の生産ラインの一部を日本に戻すが、海外工場の生産も続ける」と述べた。またソニーは昨年、350億円を投入して、日本工場の生産能力向上をはかることを明らかにしている。
瑞銀証券のエコノミストは、「円安はすでに一定期間続いており、日系メーカーはついに戦略調整をスタートした。国内回帰の流れはしばらく続くとみられる」と話す。
だがすべての企業が国内回帰戦略をよしとするわけではなく、特に自動車メーカーは生産ラインの国内回帰という流れに逆行する動きをするとみられる。トヨタ自動車の豊田章男代表取締役社長は以前、「生産ラインを日本に移す考えはない。ホンダや日産などの大手メーカーにも生産配置の変更という大きな動きはない」と述べた。電子部品メーカーの村田製作所も、引き続き海外での生産比率を4年前の14%から今年3月に30%にするという目標を追求する方針だとしている。
分析によると、日本の人口高齢化の問題は深刻で、経済は停滞して進展がなく、企業は日本の経済成長の見通しを楽観できなくなっている。多くの日系メーカーは生産能力の一部を国内回帰させるとともに、海外での生産も維持するとしている。これは生産地点をターゲット市場の近くに置くためであり、また突然の円高へのリスクヘッジでもあるという。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年1月20日 |