「来る前は、やはり少し不安だった。まず心配したのは、本当に健康に害はないのかということ。それと、これまで中国人と付き合ったことがなかったので、中国人がどのように日本を見ているのかわからなかったこと。それに、以前、中国で日本製品のボイコット運動が起こったという報道を見たことがあったため、心中ひそかに心配していた。日本人は中国では街の中を行くネズミのように憎しみの目を向けられるのではないかと不安だった」。
10年振りに中国の地を訪れた藤原さんは、中国に起こった非常に大きな変化に目を見張った。「この10年間で、中国には巨大な変化が起きていた。以前は、道にまだ多くの自転車が行き交っていたのを覚えているが、今では路上は車でひしめき合っている。10年前の中国の印象は、まさに経済が急速に発展する準備段階という感じだったが、今回は驚異的なスピードで発展する勢いを感じた」と語る。
北京での仕事と生活について藤原さんは、「最も嬉しかったのは、北京の人々が実は非常に善良で、相手の立場や視点に立って問題を考えてくれること。中国の同僚とは仕事の合間にしょっちゅうご飯を食べに行ったり、遊んだりして、仲良く付き合っている。触れ合いが増えるほど中国に対して抱いていた恐れや心配が無くなっていった」と語る。
「北京に来てから、確かに空気だけは想像通りだったが、それを除けばすべて想像とはまるで違った。知り合った人は全員非常にいい人で、中国に対する印象も大きく変わった」。
中国語の「80後」(80年代生まれ)という言葉を藤原さんもよく知っているが、特に自分と同世代の「85後」に対して、藤原さんは称賛の言葉を惜しまなかった。「日本と比べると、中国の若者はより積極的かつ主体的で、仕事に対する情熱も持っている。『85後』の人々と話していると、いろいろと刺激を受ける」。
藤原さんが勤める中国日本商会は、中国進出日系企業で組織する日本人商工会議所だ。普段仕事で触れ合う中国政府部門の職員について、藤原さんは、「中国政府の職員たちは皆非常に勤勉で責任感があり、日本の状況も非常によく理解している。また、在中国日本企業が報告した具体的な状況や意見に対しても、真剣に耳を傾け、付き合う中で壁を感じたことがない。これらの点が非常に印象深い」と語る。
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