20年におよぶ訴訟の中で、中日弁護団は1度だけだが短い勝利を挙げたことがある。この2003年の勝訴について触れると、南氏は興奮を抑えきれないように、「9月29日です」と明確に日時を語った。この日、東京地方裁判所で1996年の訴訟の判決が下り、第2次世界大戦で旧日本軍が化学兵器を中国に遺棄したことは事実であると認めた。
判決文には、日本は戦争終結時に旧日本軍の部署や武器配備状況を収集していたことをもとにすると、日本は、中国に対し調査結果を提出する、あるいは化学兵器を回収することはできた。もし、日本が中国に関連情報を提供していれば、比較的短期間に大量の化学兵器を処理することも可能だったかもしれない。しかし、これらは行われなかった。日本はあえて遺棄した化学兵器の遺留場所を隠蔽し、中国人に継続的な傷害を与えた」とあった。東京地方裁判所は、日本政府に対して原告13人に対し、1億9000万円を賠償するよう命じた。この勝訴は南氏を大いに鼓舞した。「最も光が見えた瞬間だった。そして、この20年間で最高の思い出だ」と南氏は語る。しかし、2007年、東京高等裁判所は東京地裁の一審判決を翻し、中国の原告全員の請求を棄却した。
贖罪と良識という評価を、これらの日本人弁護士や医師にあてはめるのは、どこか正確ではないような気がする。女性弁護士の佐藤香代氏は訴訟を委託された中国人が痛みに苦しみながら亡くなる姿を目にした。「旧日本軍遺棄化学兵器による被害者のほとんどが健康悪化、経済困窮、家庭崩壊の道筋をたどっている。絶望の悪循環の中から、早急に救出しなければならない」と語る。内科医の藤井正実氏が診療のため訪中するのは今回で6回目だ。化学兵器による被害者の10年間の病状の変化を記録している。「我々は中国で治療を行う資格を持っていないので、治療の段階に入れば、中国側にデータを渡し、共同で治療・救済していきたい」と語った。プロ意識と良識、恐らくこれこそが、これらの人々に対するより適切な評価と言えるのではないだろうか。(編集MZ)
「人民網日本語版」2014年12月31日 |