その後、2001年に、上海訳文出版社が村上春樹の約10作品の出版権を購入、全て林少華氏が翻訳して中国語版が出版された。同シリーズが中国で最も売れ、広く知られるようになり、村上春樹の小説は中国で一定の地位を築くこととなった。
上海訳文の瀋維蕃・編集長によると、「当時、日本側は台湾の代理業者を通じて、長編小説、短編小説、絵本など村上春樹の作品17冊を送ってきた。そして、かなりの条件で、全ての出版権を買うよう、中国の出版社に求めてきた。ほとんどの出版社が身を引いたが、当社は中国でも十分売れると見ていたほか、林少華の翻訳も高く評価していたため、日本側の条件を飲んだ。当社は6-7年間、毎年、村上春樹の作品を1作品出版してきた。さらに、新作の著作権も購入し、計40作品以上を出版してきた」という。
「ノルウェイの森」だけでも300万冊以上が印刷され、その他の作品も計300万冊以上が印刷されたことを考えると、上記の取引は十分割に合うものであったことが分かる。これら作品は、「上海訳文」を代表する存在となっている。中国において、村上春樹の作品の位置づけが変化していることに関して、瀋維蕃・編集長は、「当初、村上春樹の作品は大衆小説という位置づけで、漓江の販売戦略は間違っていなかった。しかし、あれから20年以上が経ち、『名作』という位置づけに変化してきており、単なるベストセラーでは片付けられない」との見方を示している。 (編集KN)
「人民網日本語版」2014年12月2日 |