安倍首相は中日首脳会談の実現の意向を何度も示している。安倍首相は8月5日に、11月のAPEC首脳会議における中日首脳会談の実現を希望すると再度表明した。安倍首相は「課題があるからこそ胸襟を開いて話し合い、意思疎通に取り組むべきだ」と述べた。
中国の政治文化から論じると、中国はAPEC首脳会議の主催国として、会議の調和的なムードを守るため、安倍首相の顔を立て要請に応じる可能性がある。しかしながら、中国は安倍首相の発言を聞き、その行いを見守ることになる。中国は今から、安倍首相の中日関係改善の善意の誠意を全面的に観察していく。
少なくとも現時点において、安倍首相の善意には投機的な目的があるように見える。まず靖国神社の参拝について、安倍首相の態度には曖昧な点が残されている。自ら参拝しないとしても玉串料を奉納する方針であり、閣僚の中にも悪霊を参拝する者が多くいる。安倍首相の「不参拝」の善意については、ひとまず考えなくてもよいだろう。次に、安倍首相は不利な情勢を迎えている。特に集団的自衛権の行使容認を閣議決定すると、支持率が4割ほどに低下し、人気が失われつつある。特にアベノミクスの将来性は不明瞭で、安倍首相を支持していた日本人も疑問視を始めている。内政と外交の問題が重なる中、APEC首脳会議は安倍首相が外交面で突破を実現するため、大きな賭けをするチャンスとなっている。中日の首脳会談が実現されれば、安倍首相の再任以来で最大の収穫となる。
中日関係、中日韓関係の正常化は地域の利益に合致しており、中日首脳会談の実現が期待されている。しかし安倍首相の機会主義的な姿勢では、中国から理解を得ることは難しい。中国はAPEC首脳会議の主催国だが、安倍首相を放っておく可能性もある。日本で論じられているように、安倍首相は靖国不参拝の態度だけでは不十分であり、中日の対立、つまり釣魚島の主権を巡る係争の棚上げを表明しなければならない。安倍首相に、これができるだろうか?
歴史の影は、中日の現実的な利益を巡る衝突の産物にすぎない。現実的な食い違いが解消されなければ、中日関係の改善は難しいだろう。(筆者:張敬偉 察哈爾学会研究員)
「チャイナネット」 2014年8月18日
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