中日問題研究の専門家で全国日本経済学会の副会長を務める江瑞平氏は9日、大連で行われた学術シンポジウム「甲午戦争(日清戦争)以降の中日関係」で、中日両国の間には現在、「両国関係と地域協力とのかい離」「経済的な相互利益と政治的対立とのパラドックス」という2つのレベルでの悪循環が存在していると指摘した。「中国新聞網」が伝えた。
江氏によると、中日関係は東アジア全体の中でとらえるべきであり、東アジア地域で最も重要な二国関係の一つと言える中日関係の良し悪しは、地域の情勢に重要な影響を持っている。東アジアは政治や経済の面で米国に全面的に依存してきた。だが近年の中国の総合的な実力の成長に伴い、中国経済に対する東アジアの依存度は徐々に高まっており、日本もその例外ではない。2008年には中国がすでに米国に代わり、日本最大の輸出先国となった。
中日両国関係は第2次大戦後、「政熱経冷」(政治的には熱いが経済的には冷え込んでいる)、「政経双熱」(政治的にも経済的にも熱い)、「政冷経熱」(政治的には冷え込んでいるが経済的には熱い)という3つの段階をたどってきたが、釣魚島問題や日本政府の右傾化などの影響を受け、「政経双冷」(政治的にも経済的にも冷え込む)という危険に直面している。江氏はこれについて、「日本の対中関係には現在、経済的な依存度が高まるほど、安全保障面での警戒が強まるというパラドックスが存在している」と分析する。この現象の発生は、中国と日本の実力差と相互依存の地位が逆転したことに大きく関係している。データによると、2013年の中国のGDPは日本の1.88倍に達し、2019年にはこの比は2.58倍に達する見込みだ。
江氏によると、とりわけ米国の「アジア太平洋へのリバランス」という戦略を背景として、日本は、「経済的には中国に依存し、安全面では米国に依存する」という戦略態勢が際立ちつつあり、このことも、現在の中日両国さらには東アジア地域の情勢の持続的な緊張の間接的な要因となっている。これについて江氏は、「中日関係悪化によって中日両国の地域戦略の衝突が引き起こされる可能性もある」と指摘している。
中日両国の関係のジレンマをいかに解決すべきかについて、江氏は、「経済的な相互利益と政治的な相互信頼」「国家の権益と地域の責任」「周辺外交と対日関係」「地域構造と対米戦略」の4つの面での相乗効果に注目すべきだと呼びかける。中国にとっては、中米の新型の大国関係を着実に推進し、中米日の三国関係などを適切に処理することが、中日関係の困難を打開するカギとなる。(編集MA)
「人民網日本語版」2014年8月12日 |