東京国立博物館で開催中の特別展｢台北 國立故宮博物院－神品至宝－｣に、8月5日より、新たに6点の書画が特別出品される。この中でも、蘇軾（蘇東坡）作「行書黄州寒食詩巻（寒食帖）」は、1923年の関東大震災を乗り越え、1937年に京都で公開されて以来の公開となり、注目を浴びている。台湾メディアの報道を引用して深セン商報が伝えた。

台北故宮博物院の馮明珠院長は、このほど開催された「神品至宝展出品作品入れ替え」に関する説明会において、次の通り話した。

東京国立博物館に新たに展示される国宝書画は、宋の蘇軾（蘇東坡）作「行書黄州寒食詩巻（寒食帖）」、宋の呉琚作「行書七言絶句軸」、宋の「江帆山市図巻」、宋の牟益作「擣衣図巻」、宋の馬麟作「静聴松風図軸」、金の武元直作「赤壁図巻」で、展示期間は8月5日から9月15日の予定だ。

これら6点の書画のうち、日本人に最も関係が深い作品は「寒食帖」だ。これは、蘇東坡が後世の人々に遺した最も素晴らしい作品で、乾隆十年（西暦1745年）に乾清宮に収蔵されたが、1860年の円明園焼討事件後、民間の手に渡った。1922年に日本に入り、日本人収集家の菊池惺堂氏が所蔵、その後、一部は近代の日本人学者・内藤虎氏の手に託された。

1923年9月に関東大震災が発生、東京は一瞬にして火の海となった。菊池惺堂氏は命がけで「寒食帖」を大火から守った。その後、1937年に京都で公開された。1948年から1949年ごろに王世傑氏が買い取り、1950年に台北に渡った。1987年、台北故宮博物院が所蔵した。馮明珠院長は、「このような逸話から、『寒食帖』に対する日本人の思い入れは、とりわけ強いものがある」と指摘した。

宋の呉琚作「行書七言絶句軸」は、現存している書の掛け軸では最古のものという点が特徴的だ。宋の「江帆山市図巻」は、幅はそれほど大きくないものの、描写されている内容は非常にバラエティに富んでいる。宋の牟益作「擣衣図巻」は、全体的に、地味な線描技法で描かれており、目立たない色がかえって、淡々とした雰囲気を際立たせており、女性の「やるせなさ」が見事に描写されている。（編集KM）

「人民網日本語版」2014年8月1日