フォルクスワーゲン(VW)と日産は、中国で5万元(約82万5000円)以下の廉価車を販売することを相次いで発表したが、世界販売台数首位のトヨタは、廉価車に関連する計画がないと表明した。科技日報が伝えた。
トヨタ(中国)の執行副総経理の董長征氏はこのほど取材に応じた際に、「当社は中国で、ヴィオス以下のクラスの車種を販売する計画を立てていない」と表明した。VWと日産が廉価車を発売し、市場シェアを拡大する可能性については、「当社は自動車の安全性の方を重視する。また当社の全体戦略は安定を維持し、リスクを冒すことはない」と回答した。
VWのマルチン・ヴインターコルン氏は、「当社の自動車販売台数は今年1000万台の大台を突破し、当初の計画を4年間前倒しで達成する可能性がある」と語った。これはVWとトヨタの世界販売ナンバーワンを巡る競争が、新たな重要段階に入ることを意味する。VWは2013年度に僅差でトヨタに敗北し、世界2位の座に甘んじることを余儀なくされた。
これまで好調だった市場だけでは、VWの強みが際立たない。そこでVWは、廉価車市場に目を向けた。VW中国区総裁のヘイズマン氏は、「当社の廉価車は、主に中国市場を考慮してのことだ」と話した。これまでの情報によると、VWは一汽集団と提携して廉価車を生産し、新ブランドを樹立する意向を示していた。価格は5000−1万ユーロ(約71万5000−143万円)に設定され、中国で年産50万台の目標を実現する。廉価車の発売は、2015年からとなる。
中国市場は世界最大の自動車消費市場であり、グローバル自動車メーカーから、グループ全体の業績に影響する重点とされている。中国市場での順位は、世界的な順位に対しても重要な影響を及ぼす。ゆえに今回の廉価車の取り組みは、VWのトヨタ超えとの間に一定の関連性を持つ。グローバル自動車メーカーは、廉価車・廉価ブランドを発売すれば、ローエンド市場を開拓でき、ブランドの価値を損ねることもないと判断している。
広汽トヨタの関係者は2012年、「年末にヤリス(中国版ヴィッツ)よりも低ランクの、1.2Lの入門クラスの車種を販売する」と表明し、エティオスの可能性が高いと予想されていた。しかし董氏の今回の発言は、トヨタが現時点では廉価車の開発に取り組まず、ヴィオスやヤリスなどのコンパクトカーにより、お手頃価格の車種の市場に揺さぶりをかけることを示した。トヨタの現地化調達は日増しに深化しており、新型ヴィオスの国産化率は92%に達している。(編集YF)
「人民網日本語版」2104年4月4日 |