消費市場の短期的な好景気の背後には、今後の経済状況に対する日本国民の不安がある。ある分析によると、これまで日本の消費市場の熱いブームは、増税が実施されるとぱたりと止むだけでなく、一挙に冷え込む可能性もあった。ある社会調査によると、このたびの増税に賛成の人の割合は4.5%にとどまった。回答者のほとんどが、消費税が引き上げられれば節約生活を送るしかないと答えている。
消費者が支出を抑えようとしているため、商店の多くが売上高の大幅減少を恐れるようになった。ファーストフード大手のケンタッキーとマクドナルドはこのほど、申し合わせたように増税対策の優遇措置を打ち出し、売上の大幅低下を避けたい考えを明らかにした。天丼チェーンの天丼てんやは増税に先だって割引券「生活応援チケット」の配付を決定し、増税後の来店意識を高めたいとした。自動車産業の団体連合の予測によれば、来年は国内の自動車需要が15%減少するおそれがあるという。
消費者と店舗の懸念には根拠がないわけではない。前回の消費税率引き上げは1997年に行われた。当時の橋本龍太郎首相は財政状況を安定させるため、消費税率を3%から5%に引き上げたが、引き上げ後数カ月間はデフレが続き、小売産業にいまだに回復できないダメージを与えた。増税による経済の失速が、翌年の参議院議員選挙で自民党が大敗し、橋本内閣が倒壊した原因となった。
それから17年の時を隔てても、人々の脳裏には痛ましい記憶がありありと刻み込まれている。
▽進退窮まる 安倍首相は大きな課題に直面
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