中国メディアが見る日本
正直に言うと、過去に読んだことのある日本の文学作品はあまり多くない。唯一多くの時間を費やして読んだ作品は10年程前に読んだ紫式部の「源氏物語」だ。半月ほど前、この日本版「紅楼夢」ともいえる文学巨編「源氏物語」の中国語版が発売されたというニュースが届いた。著名な日本語翻訳者および学者の叶渭渠、唐月梅夫妻が8年の歳月をかけて翻訳したものだという。北京晨報が伝えた。
隣国である日本と中国の文化が似ているのはごく自然なことだ。日本の読者が多くの中国の作家を知っているように、中国の読者もまた日本の作家のことをよく知っている。川端康成、夏目漱石、大江健三郎、村上春樹、東野圭吾・・・これらの作家は日本近現代文学の巨頭である。以前見かけた日本の人気作家ランキングによると、歴史・時代小説で知られる司馬遼太郎が今なお根強い人気を維持し続けてトップに立ち、その後を推理小説で知られる東野圭吾や村上春樹、宮部みゆきらが続いていた。司馬遼太郎は歴史上の英雄豪傑を描くことに優れ、特に戦国乱世において無名の人物が後に一時代を築く英雄へと成長していく姿を数多く描いている。司馬遼太郎の小説のキャラクターは実在の人物をモデルとしているが、その作風は金庸(中国の著名な武侠小説家)を連想させる。自身の発言にもあるように、司馬遼太郎が最も高く評価していた歴史上の人物は坂本龍馬で、それは小説「竜馬がゆく」の長さからも見て取れる。
東野圭吾が2位につけているのは意外ともいえるし、納得ともいえる。世界現代文学において日本の推理小説の地位は突出しており、東野圭吾は今や日本のミステリー・推理小説ジャンルにおいて人気実力ともに第一人者であり、ベストセラー王とも呼ばれている。東野圭吾は1985年に江戸川乱歩賞を受賞したのをきっかけに作家活動を開始し、その後「悪意」「白夜行」「容疑者Xの献身」「ガリレオシリーズ」等の一連のミステリー小説を出版し、多くの作品が映画、ドラマ化されている。
村上春樹は中国の読者の中では最も親しまれてる日本の作家で、自称文学青年と呼ぶ若者の間では読んだことがない人はごく少数派だ。日本文学界では人気に陰りが見え始めていると言われているが、新作の「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の旅」は相変わらず売り上げランキングのトップを維持し続け、昨年最も売れた作品となっている。
宮部みゆきの名前は中国ではあまり知られていないが、これは宮部みゆきの「みゆき」が平仮名のため、中国語に翻訳された名前がないことに由来するかもしれない。彼女は過去に11年間連続して最も人気のある女性作家に選ばれており、「日本文学史上の奇跡」と言われている。非常に面白いことに宮部みゆきと推理作家の綾辻行人は同じ日に生まれている。「我らが隣人の犯罪」でデビューした宮部みゆきは、92年に「龍は眠る」で日本推理作家協会賞を受賞。最も注目すべきは、多くの作家から吉川英治、松本清張、司馬遼太郎等を最も継承している女性作家であると見られている点だ。(編集YW)
「人民網日本語版」2013年3月24日 |