「泣き虫ハァちゃん」は著名な心理学者・河合隼雄氏の最後の遺作だ。昨年年初に「泣き虫ハァちゃん」中国語版が発売され、「新京報」書評週刊2013年度児童書に見事入選した。新京報が伝えた。
■本書との美しき巡り逢い
ユング派の心理学者だった河合隼雄氏は晩年に幼少期を振り返り、柔らかな筆遣いと軽妙な想像力で、ひとりの子どもの成長過程を細やかに描いた。主役のハァちゃんは気弱だったため、自分をどのように愛するか知らなかった。劣等感があり、自分をいかに理解するか知らなかった。焦り症で、世界との接点がどのようなものか、分からなかった。わがままだったゆえ、他人をいかに理解したらよいか分からなかった。河合隼雄氏はハァちゃんの生活のひとつひとつの細部に価値と意味を与え、それらの変化がハァちゃんを成長させていった。
ゆっくりゆっくりと成長したハァちゃんは、自分がより良く成長したのと同時に、より多くの「良くない」自分にも気がついた。この「未知の自己」発見の過程でハァちゃんは歓びを感じ、自分への期待が満ちあふれた。人そのものについて、我々が知っていることより、知らないことのほうが遙かに多い。よって人の成長について、畏敬を抱くべきだ。河合隼雄氏の作品はまさに、このような畏敬が穏やかに滲み出ており、氏は成長を信仰の視点から叙述、温かな期待を広げた。「子ども達はいつも大人が見えない場所にいる。子どもらしくいたずらをしながら成長する」と河合隼雄氏は語った。(編集HT)
「人民網日本語版」2014年1月9日
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