■「政府見解」の名で誤った歴史観を教科書に盛り込ませ、若者を害する機会を右翼勢力に与える
「村山談話を継承し発展させる会」の藤田高景理事長は人民日報の取材に「文科省の打ち出した教科書検定基準には重大な問題がある。この基準は表面上は『多数派 と少数派の観点をバランス良く取り上げる』としているが、実際にはこの基準に基づき、日本の教科書は恐らく日本極右勢力の主張をそのまま記述するものとな り、『南京大虐殺および従軍慰安婦問題は存在しなかった』などの記述が教科書に見られるようになるだろう」と指摘した。
高島伸欣・琉球大学名誉教授は人民日報の取材に「今回発表された『教科書改革実行プラン』の新設条項は極めて危険だ」と指摘。「まず、自民党内の『タカ派』は新基準を盾にとって、歴史事実を尊重する教科書編纂者に政治的圧力をかけることができる。同時に、自民党は 自らの利益に合致する歴史観を『政府見解』の名の下、強制的に教科書に盛り込ませることもできる。日本の子どもたちは本当の歴史を知る機会を徐々に失うこ とになる。これは将来の東アジア地域の友好関係発展にとって極めて大きな障害となるのみならず、東アジア地域全体の未来を暗雲で覆うことにもなる。日中両 国の友好関係も大きく損なわれる」と述べた。
高島氏はまた「教科書編纂者が今回発表された新基準を契機に、勇敢に史実を教科書に書くことを希望する。日本の教科書が第2次大戦で日本が負けた本当の原因を子どもたちに知らせることも希望する」と表明した。
■専門家のコメント
中国社会科学院日本研究所の呉懐中研究員は「教科書改訂は国家戦略の成否に関わるため、安倍氏は早くも2006-7年 の首相在任時に教育に『メスを入れ』、『教育基本法』を制定した。教育は人の理念をつくりかえ、国民の価値観は国家の政策の実施に直接関係するため、その 重要性は言うまでもない。現在、日本右翼教科書の全国的な採択率は決して高くない。ある意味において、現在の教科書の体現する思想傾向、価値観、およびそ の育成する国民が安倍政権のいくつかの政策の推進を妨げている。上の世代の日本人の考え方がすでに根深く揺るがぬものであることを目の当たりにした日本右 翼勢力は、若者世代に目をつけ始め、教育と教科書のいわゆる改革を通じて次の世代価値観に影響を与え、歴史の否認によっていわゆる『民族の自尊心』と『自 信』および国家のいわゆる『昔日の栄光』を取り戻し、その右傾思想を源から『押し売り』し、浸透させ始めることを望んでいる」と述べた。
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