■新聞を読むことが、生活スタイルとなっている日本
発行部数と収入を支えているのは購読者である。日本新聞協会の2012年のデータによると、日本人1000人の中で新聞を購読しているのは478人で、「読売新聞」と「朝日新聞」の2大新聞はそれぞれ18%と14%の家庭に普及している。また、日本の2012年の主要な新聞は計118紙で、家庭1世帯あたり0.88部の新聞を購読していた。このように読者の膨大な需要がある日本は「新聞大国」と言っても決して言い過ぎではない。
デジタル全盛時代の現在、日本の大衆はなぜ新聞に対して今でも忠誠であり続けるのか?今年9月に発表された記事で、東京大学大学院情報学環教育部の林香里教授はその主な要因について、「ある一定の年齢に達した日本の大人にとって、新聞は情報を得るメディアだというだけでなく、生活スタイルの重要な一部分になっている」という見方を示した。
日本人が新聞を好むのは、特に外国人にとっては、すでに日本社会を象徴する文化的な光景となっている。ある人は冗談のように、日本の地下鉄の早朝では、2種類のタイプの人たちの姿しか見られないと言う。時間を惜しんで居眠りする人と、新聞を読む人だ。東京や横浜のような大都市では、多くのサラリーマンは郊外に住んでいる。このため通勤する人は地下鉄で長い時間を過ごさなければならない。この時間、新聞を読むことが主な通勤時間の過ごし方となっている。
大阪に留学をしている宋さんは日本の地下鉄で新聞を読む人々のことが深く印象に残っていると話す。「地下鉄の中では、いつでも手に新聞を持った、パリッとしたスーツを着た通勤族の人たちを目にすることができる。新聞の一面を広げると隣にいる人に迷惑をかけるので、立ちながら新聞を読んでいる人は新聞を小さく折りたたんで読んでいる。早朝の地下鉄や、通常のカフェ、図書館の中でも新聞を読んでいる人をたくさん見かける。休みの日でも、公園で新聞を読んでいる人を見かける」。
日本の電機メーカーに勤めている小野智美さん(31歳)は、家で「毎日新聞」を購読しているという。その理由について、「私が生まれる前から、家では『毎日新聞』を購読していた」と説明する。小野さんは、「日本人はメディアと言えば、まず5大新聞を連想し、テレビはその次だ。これは恐らく世論における新聞の発言権に関係している。日本の新聞はそれぞれの政治的立場が分かれており、左寄り、中道、右寄りとすべて存在する。多くの日本人が新聞を読む大きな要因は、新聞と自分の政治的立場が近いと、自分の声を代表しているように思えるからだ。私は『読売新聞』や『産経新聞』は読まない。なぜならこれらの新聞はあまりにも右寄りだからだ」と説明した。
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