中国共産党の第18回党大会は海洋強国の建設という戦略目標を打ち出した。この目標の達成を加速するために、多くの専門家が熱意ある政策提言を行っている。海洋強国になるには海洋経済の発展が必須であり、この点をどう達成するかが中国国民にとって重要な使命となっている。事実に即して真実を述べれば、中国の海洋経済発展はスタートが遅く、基礎が劣り、経験が不足しているが、出発点が高く、進展が速く、情勢がわれわれに課す要求と実際の状況が著しく食い違うという状況を呈している。この分野で、われわれは日本の経験を参考にしてもよかろう。(文:郁志栄・上海日本研究交流センター研究員。環球時報掲載)
第1に、海洋経済の発展には、概念の明確化が必須だ。日本の正式文献に「海洋経済」に類似した用語は見られず、その代りに使用されているのが「海洋産業」だ。これには恐らく2つの理由がある。まず、島国である日本にとっては、理論上、全ての経済が「海洋経済」に属し、区別する必要がない。次に、「海洋経済」の内包と外延の区別が難しく、線引きがしにくい。1つのプロジェクト、1つの製品が複数の業種だけでなく複数の分野や地域に跨り、陸上とも海洋とも関係があることがある。一方、中国では「海洋経済」の発展を常用するが、その内包と外延に対する理解や説明は曖昧で不明確だ。これは人目を引かない中日間の違いであり、文化的違いによるものだ。
第2に、海洋経済の発展には、法律・制度の整備が必須だ。日本は歴史上、大規模な学習を3回経験した。最初は中国大陸からの学習、次に脱亜入欧の欧州からの学習、最後に米国からの学習だ。学習、吸収、超越という伝統的習慣によって、日本は強い法制観念を築いた。日本は海洋立国という戦略目標を達成するため、海洋経済発展の力強い武器である法律・制度の整備に尽力。「海洋産業」の健全な発展のために、政策の策定、資金の確保、人材の育成、宣伝・教育、海洋調査、科学技術の発展、組織・実行という一連の関連措置を講じた。
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