だが安倍政権発足後、日本はTPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉の推進に拍車をかけることをより望んでいるようだ。また、アベノミクスによる大胆な量的緩和は、日本は災いを他国に押し付ける対外経済政策を選択したのではないかとの懸念を多くの貿易パートナーに抱かせている。
これについて湯元氏は「実はアベノミクスの第3の政策、つまり成長政策は、中国や韓国などアジア各国との自由貿易圏、東アジア地域内の経済協力を推進するものでもある。こうした戦略は日本だけでなく、アジア各国にも利益をもたらすからだ。そしてこのような発展目標を達成するには、東アジア共同体の確立が必須だ」と指摘する。
ASEANはすでに自由貿易圏をほぼ確立した。2015年にはASEAN共同体も成立する見通しだ。ASEANという模範を得れば、中日韓は東アジア共同体構想をさらに推し進めることができるかもしれない。
湯元氏は「東アジア共同体は一歩一歩完成する必要がある。TPPとは全く異なる枠組みだからだ。TPPは各国が協議を経て合意しさえすれば調印し、加入できる。だが東アジア共同体は自由貿易圏、各国の関税同盟、さらには統一通貨など複数のステップが完了した後、ようやく確立が可能になる。日本はまず自らの決意と姿勢を表明しなければならない。中国も日本との意思疎通を一段と強化する必要がある。このような共同体の確立にとっては、中日間の良好な意思疎通が非常に重要だ。両国政府はこうした経済共同体の確立に向けて努力することが間違いなくできると私は考える」と強調する。
■湯元氏「中日間の政冷経熱現象は変えなければならない」
記者:東アジア共同体の確立にはおよそどれほどの時間が必要と見ているか。
湯元氏:理論的にはこうした経済共同体の確立は実現可能だが、政治的にはまだ多くの障害に直面しうる。やはり長い時間をかけて、ようやく確立が可能になる。この過程において最大の試練は、中日関係がいくらか進展しなければならないことだ。まず中日が経済共同体を確立しなければ、東アジア共同体は確立できないからだ。
最近中日はずっと「政冷経熱」の状態にある。こうした状況は変えなければならない。日本の国家発展の最良の道は中国と良好な関係、良好な意思疎通を維持することだ。良好な関係を共に築いて初めて、両国は良く発展することができる。
日本は炭素排出、エネルギー、インフラ整備など中国の多くのプロジェクトに参加できる。こうした分野で日本企業は優れた技術と製品を持つ。こうした投資分野で両国企業は良い協力ができると私は信じている。
|