「深夜食堂」は日本の著名漫画家・阿倍夜郎氏の「癒やし系」作品だ。深夜零時から朝7時まで営業する小さなめしやを描く。メニューは簡単だが、マスターは客が食べたい物なら何でも注文してくれ、という。ひとつ一つの「温かな物語」が読者に人気を博している。信息時報が伝えた。
「深夜食堂」4巻分が今年初め、中国大陸部で発売された。訳者は南京大を卒業した陳穎さん(25)。陳さんは大学3年の頃、選抜されて奈良県内の女子大に交換留学した。毎日日本人学生といっしょに授業を受け、毎晩日本文学を「補習」することになった。ゲーテの「ファウスト」を日本語で完読したこともある。
帰国後、陳さんは「とても焦った」。「みんな就職できたのに、まだ探してなかった」。陳さんはあたふたとある翻訳会社と契約、しかし1カ月後に辞職した。「IT関連でした。好きな日本文学にまったく役に立たないと思って」
辞職後1カ月以上のあいだ、陳さんは求職のメールを1千通以上送った。昨年3月、大学院面接の前後に、陳さんはネットで「深夜食堂」中国語訳トライアルのチャンスを知った。「挑戦したけれど諦めていました」。しかしある日、編集者から突然のメールが届いた。「『ありがとうございました。よい方が見つかりました』だろうと思っていたら、『おめでとうございます。あなたが選ばれました』でした」
夏休み残り1カ月あまりで、陳さんは一気に3巻を完訳した。秋期が始まると「深夜食堂」の熱心なファンの教授がこの件を知り、力強く応援した。陳さんは「来月には自分の訳したあと4巻も発売されます」と誇らしげに語った。(編集HT)
「人民網日本語版」2013年3月26日