「容疑者Xの献身」、「白夜行」などで知られる日本の人気ミステリー作家・東野圭吾氏の自伝的エッセイ集「たぶん最後の御挨拶」の中国語版がこのほど、中国で出版された。「重慶晩報」が伝えた。
一見すると真面目で、落ち着いた雰囲気を持つ東野圭吾氏だが、この本の中では意外なほどの茶目っ気たっぷりの一面を見せ、自分のことを「圭吾」と呼ぶだけでなく、時には萌え言葉で自分の私生活について率直に書き綴っている。新星出版社の午夜文庫(新星出版社が立ち上げたミステリー専門小説の文庫)●盟・副編集長に、このエッセイ集を出版することになった経緯や東野氏の素顔について電話取材した。
●氏によると、このエッセイ集の権利を購入する際、日本の版権元へは非常に低い金額でオファーを出したのだが、日本側は2つ返事でこのオファーを受けたのだという。●盟氏は「日本の出版界では、東野氏はあくまでも小説家であり、自伝的エッセイ集は東野さんの専門分野ではない。なのでエッセイ集の版権金額はそんなに高く設定されていない」とし、「このエッセイ集の価格は東野さんの同じぐらいの長さの小説に比べて、数人民元(1元=約15.43円)は安い価格設定で販売される」と語った。
東野氏のひととなりについて、●盟氏は「東野さんは人前に出ることが嫌いで、日本ではほとんどマスコミの取材を受けないため、非常にプライドが高いという噂が流れているが、本当は腰が低く態度が穏やかで、ユーモアにあふれた人だ」と説明した。
●盟氏によると、長い歴史を持ち発展した日本出版業界は出版までの制作過程や販売経路も成熟しており、作家は小説執筆以外にあまり余計なことに煩わされなくて済むため、日本の作家は皆純粋だという。
「東野さんもまったくその通りで、他人に対する警戒心がなく、漫画が大好き。この点は、中国ではもしかすると幼稚な人というイメージに取られるかもしれないが、東野氏は純粋だからこそ、この自伝的エッセイ集でも、美女が好きだとか、ミステリー作家の折原一氏の夫人が好きだとか、ということも包み隠さずつづっている。でも、これは日本では一般的なこと」と●氏。東野圭吾氏と折原一氏はプライベートでも仲が良く、「本の中では一種のジョークで、2人ともまったく気にしていない」という。
人気俳優の福山雅治さんがよく東野圭吾作品を改編したドラマや映画に出演しており、2人とも美男子であることから、「腐女子(ふじょし)」(男性同士の恋愛を扱った小説や漫画などを好む女性)の間では、2人の関係性を怪しむ声も出ている。この噂について、●氏は「もしどうしても東野圭吾氏と日本の男性俳優をカップルにしたいのなら、個人的には阿部寛さんのほうが合っていると思う」と笑いながら答えたが、最後には真面目な様子で「東野圭吾さんと福山雅治さんの噂は事実無根で、先ほど言ったことも単なるジョーク」と噂をきっぱりと否定した。(編集MZ)
*●は衣へんに者
「人民網日本語版」2013年3月22日 |