環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の参加問題について、安倍晋三首相は大きな一歩を踏み出した。日本メディアの報道によると、安倍首相は3月15日に開かれる記者会見で、日本がTPP交渉に参加することを宣言する見通しだ。日本政府はTPP交渉の参加について、久々に公式な立場を表明することになる。国際金融報が伝えた。
農業協同組合など農林漁業関連の8団体、4000人余りの参加者は、東京日比谷公園で集会を開き、抗議を表明した。
日本の農業界は各政党が争う「集票箱」とされている。安倍首相はTPP交渉の問題を適切に処理できなければ、その政治生命を脅かされることになる。
◆利益と弊害
就任したばかりの安倍首相には、消費増税に向け背水の陣を敷き、政治生命を犠牲にした野田佳彦前首相のような気迫はない。
中国社会科学院日本研究所の日本問題専門家の厖中鵬氏は、「農業界の説得を待たず、安倍首相がこれほど大急ぎでTPP交渉参加を発表したことには、3つの要因がある。一つ目は、米国からの圧力だ。二つ目は、日本国内の経済情勢だ。アベノミクスは日本を景気低迷から脱却させるとしており、大幅な円安は輸出促進に向けたものだ。TPP自由貿易圏に入れば、日本の輸出拡大の原動力が増すことになる。三つ目は、中国がアジア太平洋でより重要な役割を演じることの阻止だ。日本は米国主導のTPP交渉に参加し、これを中国対抗、アジアにおける経済主導権の獲得の手段とする」と分析した。
厖氏は、「しかしこの3つの要因により、日本のTPP交渉が遅れることになる。外部からの圧力は、日本国内で大きな反対の声があがっていることを示している。輸出拡大は、日本の景気低迷脱却に、他に良い手段がないことを示している。経済主導権の獲得は、日本がTPPの意義を理性的に見ているわけではなく、一時的な『お付き合い』と考えていることを示している。このような心理でTPP交渉に参加したところで、良い結果が導き出されることはない」と指摘した。
TPP交渉に参加する国の中で、米国は日本にとって第2位の貿易パートナーだ。またベトナム、マレーシア、チリなどの年間経済成長率は5%を上回っている。TPPは日本の工業品の輸出を促し、安価な商品の輸入により国内消費を刺激できるという、楽観的な分析がある。しかし厖氏は、TPP加入の日本経済に与える効果は大きくないとし、「日本経済はすでに20年間に渡り衰退している。その原因は非常に複雑であり、TPP加入により日本経済の病がすぐに治療できるわけではない」とした。例えば日本企業のイノベーション意識は韓国や米国より遅れており、日本の一部の電機メーカーは巨額の赤字に陥っている。これはTPP加入によって解決できるものではない。TPP加入により日本の輸入に一定の利益が生じるが、交渉は手続きが複雑で、交渉期間が3-5年あるいは7-8年に達する可能性がある。交渉成立した時には、時すでに遅しとなる恐れがある。
日本政府はTPP加入の利益と弊害をはっきりさせていない。内閣府が2011年に行った推計によると、TPPに加入した場合、日本のGDPが10年内に2兆4000億円-3兆2000億円増加するという。しかし農林水産省は異なる回答を出し、TPP加入による損失は約11兆6000億円に達し、約340万人の失業者が出るとした。経済産業省は、日本がTPP不参加を決め、韓国が米・中・EUとFTAを締結させた場合、日本のGDPは10兆5000億円減少し、失業者が81万2000人増加すると予想した。
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