■賢明な国はみな日中戦争を望まず
記者:釣魚島問題について村山元首相は現世代または次の世代に、果たして解決の知恵があると思われますか?米国やフィリピンなど、多くの国は中日間の戦争を待ち望んでいるのでしょうか?
村山元首相:知恵があるかどうかは二の次であり、肝要なのは知恵を結集して共に方法を考えることです。悠久の歴史の流れの中で、日中関係には良い時もあれば良くない時もありました。しかし両国の先賢たちは共になんとかしてこの問題を乗り越え、今日の両国関係を構築しました。私たちは彼らの努力を無にするべきではありません。今後の日中関係は、ウィンウィンの方向へ発展させなければなりません。これは日中両国間のみの事ではなく、アジアの平和と繁栄にも関係します。アジア各国は日中友好を切望し、全世界も日中友好を切望しています。このような小さな事のためにけんかするのは、全く愚かの極みです。日中両国の政治家は歴史を鑑として、共に方法を考えなければなりません。明確な目的さえあれば、必ず方法を考え出すことができます。
もし日中間で本当に戦争が起きれば、米国はたまったものではありません。賢明な国はみな日中戦争を望んでいません。米国も当然そうです。過去にフランスとドイツの間で2度大戦が起きましたが、これは両国国境の鉱物資源の奪い合いが原因の一部でした。第2次大戦終結後、仏独両国は再び戦争を繰り返せば両国が共に滅亡するだけで、欧州全体も壊滅しうることを認識し、このために資源の共有、利益の分配について合意しました。こうして今日の欧州連合(EU)があるのです。日中両国もこうした歴史を参考にし、日中を中心にアジア同盟を築き、助け合いの体制を形成すべきです。
記者:中国では比較的日本を理解している多くの人が、日本は第2次大戦で本当に日本を打ち負かしたのは中国人ではなく米国人だと考えているので、現在も中国人に従わないとよく言います。こうした考えには同意されますか?
村山元首相:私は一貫して、日本を打ち負かしたのは米国ではないと考えています。日本が広大な中国大陸で覇権を唱えようとしたのは、全くもってかなう見込みのない企てでした。開戦当初から、失敗する運命にある戦争だった。これこそが日本が敗戦した根本的原因です。もし米国が参戦しなければ、日本は必ず中国を打ち負かせたと考える日本人ももちろんいます。こうした考え方の日本人は、全体を見ることができないのです。
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